日商簿記3級対策~科目別解説「例題解説:固定資産の減価償却・売却」~
今回は「例題解説:固定資産の減価償却・売却」について説明していきます。
(2019年6月より減価償却の「直接法」は範囲外)
例題解説:固定資産の減価償却・売却
「固定資産の減価償却・売却」の例題を解いてみましょう。
問題
次の取引を仕訳しなさい。
①決算時の減価償却
決算につき、以下の建物の減価償却を行う。
取得原価:100,000円
耐用年数:10年
残存価額:取得原価の10%
なお、直接控除法と間接控除法それぞれで仕訳をしてください。
②固定資産の売却
以下の条件の建物があります。
取得原価2,000,000円
現時点での減価償却累計額180,000円
耐用年数20年
残存価額 取得原価の10%
この建物を1,800,000円で売却し、代金は現金で受け取った。
なお、期首から売却までの期間は4ヶ月である。
解答
①期末時の減価償却
直接法(2019年6月から2級以上へ)
(借)減価償却費 9,000 | (貸)建物 9,000 |
間接法
(借)減価償却費 9,000 | (貸)減価償却累計額 9,000 |
②固定資産の売却
(借)減価償却費 30,000 | (貸)建物 2,000,000 |
減価償却累計額 180,000 | 固定資産売却益 10,000 |
現金 900,000 |
解説
①期末時の減価償却
直接法(2019年6月から2級以上へ)
(借)減価償却費 9,000 | (貸)建物 9,000 |
「減価償却費」という費用が増えたため借方(左側)に記入。
「建物」という資産が減ったため貸方(右側)に記入。
間接法
(借)減価償却費 9,000 | (貸)減価償却累計額 9,000 |
「減価償却費」という費用が増えたため借方(左側)に記入。
「減価償却累計額」が増えたため貸方(右側)に記入。
減価償却費を求めます。
(取得原価 – 残存価額) / 耐用年数=減価償却費
( 50,000円 – 5,000円 ) ÷10=4,500円
直接控除法の場合は、固定資産の「建物」から直接引きます。
間接控除法の場合は、「減価償却累計額」を増加させていきます。
「減価償却累計額」は負債の部に計上されますが負債ではありません。
(借)減価償却費 30,000 | (貸)建物 2,000,000 |
減価償却累計額 180,000 | 固定資産売却益 10,000 |
現金 900,000 |
「減価償却費」という費用が増えたため借方(左側)に記入。
「建物」という資産が減ったため貸方(右側)に記入。
「減価償却累計額」が減ったため借方(左側)に記入。
「固定資産売却益」という収益が増えたため貸方(右側)に記入。
「現金」という資産が増えたため借方(左側)に記入。
最初に一年で発生する減価償却費を求めます。
減価償却費は、以下の通りになります。
( 2,000,000 – 200,000 ) ÷ 20 = 90,000円
次に期首から売却までの期間が4ヶ月の減価償却費を求めます。
売却時に発生する減価償却費です。
90,000 ×4か月÷12か月 = 30,000円となります。
建物の取得価額は2,000,000円です。
すでに減価償却している部分が180,000円、売却までの4か月分の減価償却費が30,000円、合計210,000円を取得価額2,000,000円からマイナスします。
その金額は1,790,000円です。これと受け取る現金1,800,000円を比較します。
10,000円売却益が出る計算です。
学習のポイント(実務小話)
固定資産の減価償却・売却の処理の例題を解説しました。
減価償却の直接法は、2019年6月より範囲外となりました。
減価償却は、例えば建物が年数が経つにつれ劣化してくということを数値的に計算したものです。耐用年数が10年なら10年で価値がほぼなくなる計算を行います。
実際の劣化度合を見ているわけではなく、またその劣化度合がどのくらいかも算出するのが難しいので、均等に償却したり、規則的に償却しています。
簿記の仕訳上、固定資産の売却益や売却損が出たりしますが、例えば、売却益が出た場合は思ったより状態が良かったためだったり、逆に売却損が出る場合には劣化の度合いがひどかったり、実際の劣化度合と計算上減額した金額のズレが要因だったりします。
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