日商簿記3級対策~科目別解説「例題解説:商品有高帳」~
今回は「例題解説:商品有高帳」について説明していきます。
例題解説:商品有高帳
「商品有高帳」の例題を解いてみましょう。
問題
次の一連の取引をもとに、商品有高帳へ記入しなさい。
なお、先入先出法と移動平均法のそれぞれで記入してください。
9/5 仕入 30個 単価1,000円
9/10 売上 10個 単価1200円
9/20 仕入 20個 単価1200円
9/25 売上 30個 単価1500円
解答
先入先出法
移動平均法
解説
先入先出法、移動平均法の違いについての理解を確認しておきましょう。
なお、実際にいくらで売り上げたのかは、商品有高帳では一切関係ありませんのでダミーの使わない情報です。
受入欄は、仕入たときや前月から繰り越された場合に記入する箇所です。
払出欄は、売り上げたときは、次月へ繰り越す場合に記入する箇所です。
9/10の売上取引までは、先入先出法と移動平均法は同じです。
9/20の仕入取引
先入先出法の残高欄へは、単価ごとに分けて記入。
移動平均法では、残高金額と数量を割り、改めて単価を算出しなおしてから記入。
9/25の売上取引
先入先出法では、先に仕入れたものから先に払出しをします。単価1,000円で仕入れているものから先に払出し、足りない分について1,200円の単価のものを払い出します。
移動平均法では、算出しなおした単価で計算します。
次月繰越
在庫として残った分を次月へ繰越して、合計金額を求めます。
学習のポイント(実務小話)
商品有高帳の例題を解説しました。
商品有高帳の問題は、見た感じちょっと面倒くさいとおもうかもしれませんが、やり方さえ知っていれば問題文の情報だけで得点できますので、得点を伸ばすにはチャンスの問題です。
ところで、上記の問題では、最終的に残った在庫の金額が、先入先出法では12,000円、移動平均法では11,000円です。
この差額1,000円は、どこへ行ったのでしょうか。
この差額は利益の増減として計算されています。
先入先出法の方が利益が1,000円多くなります。
ちょっと難しい話かもしれませんが、大切なのは、商品有高の計算方法を変えるだけで、実態としての在庫は同じなのに、会計上の利益が調整できてしまうというところです。
このあたりもおもしろくもあり、粉飾や不適切会計の見地からすると少し危ないところと言えます。
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