公認会計士試験、論文式試験の解き方、論文答案の書き方のポイント
今回は公認会計士試験の論文式試験の解き方、解答の書き方のポイントをご紹介します。
知識0の状態から勉強を始め、専念受験生に引けを取らない成績で合格。
得意科目は会計学で、論文式試験では偏差値60越え、上位10%以内の成績でした。
8月下旬の金・土・日の3日間にわたって実施されます。
試験の実施科目は監査論、租税法、会計学、会社法、選択科目(経営学、経済学、統計学、民法)の5科目ですが、会計学は財務会計論と管理会計論にわけて実施されます。
そのため実質6科目です。
実施日程について
日程は以下の通りです。
金曜日・・・午前:監査論2時間、午後:租税法2時間
土曜日・・・会計学(午前:管理会計論2時間、午後:財務会計論3時間)
日曜日・・・午前:会社法2時間、午後:選択科目2時間
試験時間は長いほど、問題は多いほどよい?
論文式試験は3日間の長丁場です。
さすが最高峰の国家試験というところでしょうか。
3日間、最大で1科目3時間というと長すぎてつらいと思う人もいると思いますが、
私は個人的には、試験問題は長ければ長いほど、問題も多ければ多いほど良いと思っています。なぜならその方が本当の実力がでやすいと思うからです。
正直、マークシートの短答式試験はまぐれ合格って結構あると思っています。
論文式試験もそれがまったくないとは到底いえませんが、記述式かつ問題量も多いため、短答式試験に比べてまぐれ合格は抑えられる構造になっていると思います。
とはいえ、限られた時間でその実力を出し切るにはある程度試験の解答テクニックも必要であると考えられます。
今回は私の経験上の話ですが、解答作成のポイント、論文答案の書き方などを書いていきたいと思います。
私は予備校の講師ではありませんので、あくまでも受験の経験上感じた話となりますが、参考になれば幸いです。
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公認会計士試験、論部式試験の科目別解答作成、論文答案の書き方のポイント
日程順に解答作成のポイントを書いていきます。
最初は1日目の監査論からです。
監査論
もっとも、受験生で一番科目合格を取りやすいのが監査論です。
私も監査論は得意で科目合格レベルでした。
解答欄は2~6行の小問の連続ですね。
何が聞かれているのかというと、監査の意義、原則をわかってますか?ということです。
問題文を読んだら、ひとまず論点を大きな視点からとらえることが大事です。
たとえば2重責任の原則の視点です。あとは監査の限界、監査の必要性など本質的なところがきちんとわかってるというメッセージを解答に込めるのが大切だと思います。
また文章は簡潔な表現を心がけましょう。解答欄はぎっしり埋める必要はないと思います。
論文式試験全体に関することですが、聞かれたことに対して簡潔に答えることが重要です。余分なことは書く必要はないですし、その時間を違うところに使いましょう。
〇〇について答えなさい
〇〇は▲▲である。なぜなら□□だからである。
解答はこれで十分だと思います。
租税法
1日目の午後は租税法です。
私はあまり得意ではありませんでした。
租税法は、論述と計算に分かれます。
理論と計算、先にどちらに取り掛かるかは好みです。
理論は、所得税、法人税、消費税、8問程度の小問、解答欄は各3~4行
計算は所得税、法人税、所得税の小問、法人税と消費税の総合問題という感じで出題されることが多いです。
理論の解答作成のポイント
法人税法上の取り扱いを説明しなさい
こんな形が多いと思います。
それに対しての解答は、
法律上どう取り扱われるかを説明し、根拠条文を指摘する。
解答はこれだけなのです。ですから、条文を指摘できるかは重要です。
正直、どんな問題が出てくるかはその時々です。ただあまり細かい条文の知識を追いかけるより、法人税法22条だとか、37条(寄附金)などの基本条文をしっかりおさえておくことが大切だと思います。
あと、なんのことやらわからない問題もでてきますが、空欄を作らないことですね。何か書きましょう。
計算の解答作成のポイント
租税法の試験時間2時間では、よほど租税法が得意な人でない限り、完答することは難しいと思います。
法人税総合問題
法人税の総合問題は毎回かならず出題されます。
完答を目指すのは得策ではないでしょう。取れるところを重点的にやりましょう。わからない問題は飛ばします。
時間がかかりそうな圧縮記帳とか、申し訳ないが完全に捨てました。
消費税
消費税は総合問題の場合もあるし、小分けにしてくる場合もあります。
消費税は租税法の中で博打要素が強いと思います。
一つ間違えると連鎖する部分もあるからです。
とりあえず全く手を付けられない状況は避け、できるだけ埋めましょう。
仮に連鎖して間違ったとしても、それが決定的な不合格の要因とはなりません。
残りの小問
所得税の総合問題、譲渡所得あたりが出やすいですかね、その辺りをやっておくのがよいかもしれません。
管理会計論
2日目の午前は管理会計論です。
管理会計論は、第1問工業簿記2問、第2問原価計算その他から2問、計4問ですね。
それぞれの問題で計算をさせて、その結果などについて理論を書くという形式が多いです。
これも4問すべて解き終えるにはかなり時間が切羽詰まってくると思います。
予備校でよく言われますが、計算できてないのに理論を書いてよいのかということですが、書いてよいです。書きましょう。
私はむしろ論述を先に書いていることもありました。
計算問題は各問、4問~5問ですが、
最初の3問目くらいまでは解いておいて、4問、5問は時間が足りなそうなら適当に解答しておいて解けなくても構わないと思います。
最初の計算3問、理論がしっかりかけてれば十分合格ラインだと思います。
あと、論述で特に重要な視点は、とにかく責任会計の見地です、管理可能性と責任です。
財務会計論
2日目の午後は財務会計論3時間です。
私は会計学、偏差値60を超えましたので得意な方でした。
会計士試験ですから、財務会計論、ここが勝負所です。
第3問は計算と理論、第4問は理論、第5問計算と理論という傾向が長く続いています。
これを前提に書きたいと思います。今後傾向は大きく変わるかもしれません。
第4問の理論から手を付けるのがおすすめとよく言われます。
私は第3問の計算の問題を読んで頭に入れておきつつ簡単な部分を解答、理論も片づけつつ、ある程度先が見えたと思ったら、第4問の理論へと移っていきました。
第3問
計算の解答作成のポイントは説明するまでもないでしょう。簡単な問題が出たら7割~8割は取れないと厳しい状況に追い込まれます。
理論は基礎な論点が2問程度出題されます。ここもきっちり解答したいところですね。
第4問
比較的基礎的な理論が出題されます。基本的に知識の吐き出し型の問題が多いと思います。特別な理論構成を考えるという問題はあまりありません。
解答作成のポイントを書きますと
〇〇については、▲▲と■■という2つの方法が考えられる、それぞれの方法の基礎にある考え方を説明し、わが国ではどちらを採用しているのかその理由とともに解答しなさい。
とこんな問題がオーソドックスです。
▲▲は△△という方法である。その基礎にある考え方は▽▽である。また■■は□□という方法である。その基礎にある考え方は◇◇である。わが国では◎◎という考え方に基づき▲▲を採用している。
こんな感じで、聞かれたことに対して素直に回答することが得点を稼ぐポイントです。
本当に余計なことは書かない方がいいです。
第5問
第5問は何が出題されるかわかりません。
理論が出題されたならばとりあえず何か書きましょう。
難しい計算が出題されたら、ある程度のところであきらめてその他の問題の解答精度を高めましょう。
難しい問題はみんなできません。
会社法
会社法は大問が2問、それぞれ問い2つ~3つという構成になります。
採点結果をみると、適用条文を間違うとものすごく偏差値が下がります。
条文の選択は慎重に。
例えば、4問中1問について適用条文を間違ってしまうと、偏差値は50取れるかどうかというイメージですかね。これは採点サイドしかわからないところですが、まず科目合格は無理なのではないかと思います。
書き方は、問題提起、規範定立、あてはめ結論、この原則を粛々と実行すれば、それほど低い点数となることはないと思います。
選択科目(経営学)
経営学について書きます。
私は経営学を選択していました。
経営学は何といっても、その学習範囲の少なさが魅力です。
試験は、経営管理とファイナンス論に分かれます。
どちらかというとファイナンスの方がしっかり安定的に点数を稼げますのでそちらを完ぺきに仕上げることがよいでしょう。
経営管理は暗記です。
用語を書く問題が出題されます。わからないと不安な気持ちになるかもしれませんが、わからなかったとしても気にしない。そんなところで合否は決まりません。
問題数も少なく時間も余りますので、ファイナンスの方を再計算して計算ミスをしないようにしておくのがよいと思います。
最後に~受ける前に勝負はついている~
冒頭でも書きましたが、論文式試験は実力が出やすい試験だと思います。
答練などをこなしていると、合格できそうかなという手ごたえを感じる瞬間もあると思います。その感覚は間違いありません。
実力ベースでは合格ラインに達しているのです。
この感覚を得たら勝利は間近です。
ただ、その実力を答案に反映しなければ当然合格できませんので、今回はその一助となればと思って書いてみました。