NPV法とIRR法は、公認会計士試験で「処理は覚えたが、意味がつながらない」となりやすい論点です。
NPV法とIRR法はどちらも設備投資評価に使われますが、相互排他的な投資案では結論が食い違う場合があります。その理由は、価値を金額で測るか収益率で測るか、再投資や投資規模の影響が異なるからです。
先に結論
NPV法は、投資から得られる将来キャッシュフローを資本コストで割り引き、初期投資との差額を現在価値の金額として測ります。

本記事はこんな方におすすめです。
- NPV法とIRR法の意味が曖昧な方
- 公式・仕訳・結論を丸暗記している方
- 本試験で迷わない考え方を身につけたい方
公認会計士監修
公認会計士試験では、結論や公式だけを覚えるより「なぜその処理・制度になるのか」を理解したほうが、初見問題や論文式にも対応しやすくなります。本記事では受験生がつまずきやすい部分を中心に、できるだけ順序立てて解説します。
NPV法とIRR法の基本を整理
IRR法は、NPVをゼロにする割引率、すなわち投資案そのものの内部収益率を求め、それが要求収益率を上回るかで判断します。
独立した通常の投資案なら、NPVが正でIRRが要求収益率を上回るという同じ採否結論になることが多いです。
なぜそうなるのか?仕組みから理解しよう
しかし投資規模が異なる相互排他的案件や、キャッシュフローの発生時期が大きく異なる案件では、IRRの順位とNPVの順位が逆になることがあります。
企業価値最大化の観点では、要求収益率を適切に反映したNPVの金額が意思決定の中心となる考え方を押さえます。
具体例で確認
まずは数字や場面を単純化して、論点の骨格だけを確認しましょう。
小規模高IRR案と大規模高NPV案
A案は100投資して30の価値増加、B案は1,000投資して100の価値増加とします。A案は率では魅力的でも、企業価値を増やす金額はB案のほうが大きい可能性があります。実際の比較では各CFを同一の資本コストでNPV計算します。
『率が高い=会社の価値を最も増やす』とは限らない点がポイントです。
公認会計士試験で押さえたいポイント
- NPVは価値増加額、IRRは収益率という違い
- 相互排他的投資案では順位逆転があり得る
- 非通常CFではIRRが複数・存在しない場合がある
本試験では、知識を単独で問うだけでなく、複数論点を組み合わせて判断させることがあります。問題文の事実関係を分解し、どの論点を使うのかを先に特定することが大切です。
受験生が間違えやすいポイント
- IRRが最も高い案を常に選ぶ
- NPV計算の割引率とIRRを同じ概念と考える
- 初期投資規模を無視して率だけ比較する
ミスの多くは、似た用語を同じものとして扱ったり、計算式だけを思い出そうとしたりすると起こります。結論の前に「何を調整しているのか」を言葉にしてください。
問題を解くときの手順
- 問題文から対象となる取引・制度を特定する
- 基準となる金額・状態を置く
- 必要な調整を一つずつ加減する
- 最後に仕訳・数値・結論の整合性を確認する
この順番を固定すると、問題の見た目が変わっても処理の軸がぶれにくくなります。
暗記ではなく理解するための覚え方
『NPV=何円増える? IRR=何%で回る?』と日本語で分けてください。
一度、自分の言葉で「なぜそうなるのか」を30秒で説明してみてください。説明できない部分が、そのまま復習すべきポイントになります。
関連論点とのつながり
会計学の設備投資、WACC、DCFと横断して学ぶと、NPVが企業価値へどうつながるか理解できます。
よくある質問
NPVとIRRの結論が違ったらどちらを優先しますか?
企業価値最大化を目的とする典型的な資本予算では、適切な資本コストを用いたNPV法が重視されます。問題文の前提に従って判断してください。
IRRが二つ出ることはありますか?
キャッシュフローの符号が複数回変化する非通常型では複数のIRRが生じる可能性があります。IRR法の限界として重要です。
受験年度の基準を確認してください
経営学は理論・計算ともに出題範囲が広いため、受験年度の出題範囲と最新教材を確認し、本記事で考え方を整理したうえで問題演習につなげてください。
まとめ
NPV法とIRR法は、用語や公式を暗記するだけではなく、処理の目的と前後関係を理解することが得点につながります。まず基本構造を自分の言葉で説明できる状態にし、その後に問題演習で定着させましょう。
NPV法とIRR法で迷ったら、結論を思い出す前に「何を表すための処理か」に戻るのが近道です。