ポートフォリオの分散効果は、公認会計士試験で「処理は覚えたが、意味がつながらない」となりやすい論点です。
『銘柄を増やせばリスクが下がる』だけでは不十分です。分散効果は、各資産の値動きが完全に同じ方向ではないため、損益が互いに打ち消し合うことから生じます。
先に結論
ポートフォリオの期待収益率は、各資産の期待収益率を投資比率で加重平均して求めます。一方、リスクは標準偏差を単純に加重平均するだけでは求まりません。

- ポートフォリオの分散効果の意味が曖昧な方
- 公式・仕訳・結論を丸暗記している方
- 本試験で迷わない考え方を身につけたい方
公認会計士監修
公認会計士試験では、結論や公式だけを覚えるより「なぜその処理・制度になるのか」を理解したほうが、初見問題や論文式にも対応しやすくなります。本記事では受験生がつまずきやすい部分を中心に、できるだけ順序立てて解説します。
ポートフォリオの分散効果の基本を整理
複数資産の組合せでは、各資産がどの程度同じ方向へ動くかを表す共分散・相関係数がリスクに影響するからです。
相関係数が+1なら完全に同じ方向へ動くため分散効果は限定的です。+1より小さければ値動きが完全には一致せず、組合せによってポートフォリオのリスクを低下させられます。
なぜそうなるのか?仕組みから理解しよう
相関が低いほど一般に分散効果は大きくなり、-1なら一定の条件でリスクを大きく相殺できる組合せも考えられます。
この考え方が、個別企業固有のリスクを分散投資で低減でき、市場全体に共通するリスクが残るというCAPMの前提につながります。
具体例で確認
まずは数字や場面を単純化して、論点の骨格だけを確認しましょう。
同じ期待収益率のA株とB株
A株が好調なときB株も必ず同じ比率で好調なら組み合わせても値動きはあまり滑らかになりません。逆にA株が上がる局面とB株が上がる局面がずれるなら、一方の下落をもう一方が補うことで全体の変動を抑えられます。
銘柄数より『値動きの組合せ』が本質だと理解してください。
公認会計士試験で押さえたいポイント
- 期待収益率は加重平均で求める
- ポートフォリオ分散には共分散が入る
- 相関係数と分散効果の方向を理解する
本試験では、知識を単独で問うだけでなく、複数論点を組み合わせて判断させることがあります。問題文の事実関係を分解し、どの論点を使うのかを先に特定することが大切です。
受験生が間違えやすいポイント
- 標準偏差を単純加重平均する
- 相関係数0なら全く関係がないから分散効果もゼロと考える
- 銘柄数を増やせば市場リスクまで消えると思う
ミスの多くは、似た用語を同じものとして扱ったり、計算式だけを思い出そうとしたりすると起こります。結論の前に「何を調整しているのか」を言葉にしてください。
問題を解くときの手順
- 問題文から対象となる取引・制度を特定する
- 基準となる金額・状態を置く
- 必要な調整を一つずつ加減する
- 最後に仕訳・数値・結論の整合性を確認する
この順番を固定すると、問題の見た目が変わっても処理の軸がぶれにくくなります。
暗記ではなく理解するための覚え方
『一緒に転ぶ資産ばかり集めても分散にならない』というイメージで相関を理解すると数式が覚えやすくなります。
一度、自分の言葉で「なぜそうなるのか」を30秒で説明してみてください。説明できない部分が、そのまま復習すべきポイントになります。
関連論点とのつながり
効率的フロンティア、CAPM、β、システマティック・リスクへつなげるとファイナンス理論が一本になります。
よくある質問
相関係数が0なら分散効果はありますか?
あります。完全な正の相関ではないため、組合せによってリスク低減効果が生じます。
何銘柄持てば固有リスクはゼロになりますか?
現実には銘柄数だけで完全ゼロと断定するものではありません。理論上、十分な分散により固有リスクを大きく低減できるという考え方を押さえてください。
受験年度の基準を確認してください
経営学は理論・計算ともに出題範囲が広いため、受験年度の出題範囲と最新教材を確認し、本記事で考え方を整理したうえで問題演習につなげてください。
まとめ
ポートフォリオの分散効果は、用語や公式を暗記するだけではなく、処理の目的と前後関係を理解することが得点につながります。まず基本構造を自分の言葉で説明できる状態にし、その後に問題演習で定着させましょう。
ポートフォリオの分散効果で迷ったら、結論を思い出す前に「何を表すための処理か」に戻るのが近道です。