DCF法と企業価値・株主価値は、公認会計士試験で「処理は覚えたが、意味がつながらない」となりやすい論点です。
DCF法では『将来FCFを割り引く』ところまでは分かっても、その結果が企業価値なのか株主価値なのか、その後に負債を足すのか引くのかで迷いやすいです。
先に結論
DCF法は、企業が将来生み出すキャッシュフローを、そのリスクに見合う割引率で現在価値へ換算して価値を評価する方法です。

- DCF法と企業価値・株主価値の意味が曖昧な方
- 公式・仕訳・結論を丸暗記している方
- 本試験で迷わない考え方を身につけたい方
公認会計士監修
公認会計士試験では、結論や公式だけを覚えるより「なぜその処理・制度になるのか」を理解したほうが、初見問題や論文式にも対応しやすくなります。本記事では受験生がつまずきやすい部分を中心に、できるだけ順序立てて解説します。
DCF法と企業価値・株主価値の基本を整理
FCFFをWACCで割り引く場合、求めているのは基本的に負債提供者と株主の双方に帰属する事業・企業全体の価値です。
そこから株主だけに帰属する価値へ移るには、有利子負債など株主以外の資金提供者に帰属する価値を控除し、必要に応じて非事業資産等を調整します。
なぜそうなるのか?仕組みから理解しよう
一方、FCFEを株主資本コストで割り引く方法では、株主に帰属するCFを直接評価するため株主価値を求める構造になります。
継続価値(ターミナルバリュー)は企業価値の大部分を占めることがあるため、成長率と割引率の関係、予測期間末の時点を慎重に確認します。
具体例で確認
まずは数字や場面を単純化して、論点の骨格だけを確認しましょう。
FCFFの現在価値1,000・有利子負債300
単純化して、FCFFをWACCで割り引いて得た企業価値が1,000、有利子負債が300、その他調整がないなら株主価値は700と考えます。700を発行済株式数で割れば1株価値へ進めます。
『誰の価値?』を各計算段階の横に書くと、足し引きの方向を間違えにくくなります。
公認会計士試験で押さえたいポイント
- FCFF→WACC→企業価値の流れ
- 企業価値から有利子負債等を調整して株主価値へ
- ターミナルバリューの時点と成長率条件を確認する
本試験では、知識を単独で問うだけでなく、複数論点を組み合わせて判断させることがあります。問題文の事実関係を分解し、どの論点を使うのかを先に特定することが大切です。
受験生が間違えやすいポイント
- 企業価値から現金も無条件に引く
- 負債を二重に控除する
- 将来価値を予測期間開始時点の現在価値と取り違える
ミスの多くは、似た用語を同じものとして扱ったり、計算式だけを思い出そうとしたりすると起こります。結論の前に「何を調整しているのか」を言葉にしてください。
問題を解くときの手順
- 問題文から対象となる取引・制度を特定する
- 基準となる金額・状態を置く
- 必要な調整を一つずつ加減する
- 最後に仕訳・数値・結論の整合性を確認する
この順番を固定すると、問題の見た目が変わっても処理の軸がぶれにくくなります。
暗記ではなく理解するための覚え方
計算用紙に『事業CF→事業価値→企業価値→株主価値→1株価値』と縦に階段を書いてください。
一度、自分の言葉で「なぜそうなるのか」を30秒で説明してみてください。説明できない部分が、そのまま復習すべきポイントになります。
関連論点とのつながり
FCFF・FCFE、WACC、CAPM、永久成長モデルを一枚の企業価値評価フローにすると試験直前の復習に便利です。
よくある質問
企業価値と事業価値は必ず同じですか?
定義は教材や評価目的で区別されることがあります。非事業資産などを含むかを確認し、問題文の用語定義に従ってください。
ターミナルバリューはなぜ必要ですか?
企業が予測期間終了時に突然消滅するわけではないため、予測期間後に生み出す価値を一定の仮定でまとめて評価するためです。
受験年度の基準を確認してください
経営学は理論・計算ともに出題範囲が広いため、受験年度の出題範囲と最新教材を確認し、本記事で考え方を整理したうえで問題演習につなげてください。
まとめ
DCF法と企業価値・株主価値は、用語や公式を暗記するだけではなく、処理の目的と前後関係を理解することが得点につながります。まず基本構造を自分の言葉で説明できる状態にし、その後に問題演習で定着させましょう。
DCF法と企業価値・株主価値で迷ったら、結論を思い出す前に「何を表すための処理か」に戻るのが近道です。