WACCの負債コストと「1-税率」は、公認会計士試験で「処理は覚えたが、意味がつながらない」となりやすい論点です。
なぜ負債コストだけに「1-税率」を掛けるのかは、法人税計算で支払利息が損金となることによる節税効果をキャッシュフローの観点から理解すると簡単です。
先に結論
負債を利用すると企業は利息を支払います。典型的な前提では、この支払利息は法人税の課税所得を減らすため、利息額そのものより実質的な負担が小さくなります。

- WACCの負債コストと「1-税率」の意味が曖昧な方
- 公式・仕訳・結論を丸暗記している方
- 本試験で迷わない考え方を身につけたい方
公認会計士監修
公認会計士試験では、結論や公式だけを覚えるより「なぜその処理・制度になるのか」を理解したほうが、初見問題や論文式にも対応しやすくなります。本記事では受験生がつまずきやすい部分を中心に、できるだけ順序立てて解説します。
WACCの負債コストと「1-税率」の基本を整理
たとえば利率5%で100の負債を調達すれば利息は5です。しかし税率30%と仮定し、その利息が全額税務上控除されるなら、税金が1.5減るため実質負担は3.5となります。
この実質的な税引後負担を率で表したものが5%×(1-30%)=3.5%です。
なぜそうなるのか?仕組みから理解しよう
一方、株主への配当や株主が要求する収益率は、負債利子と同じように法人税計算上の損金として控除されるわけではありません。そのため株主資本コストへ同じ式を掛けません。
試験では、税率を掛ける対象が『負債の比率』なのか『負債コスト』なのかを取り違えないようにします。
具体例で確認
まずは数字や場面を単純化して、論点の骨格だけを確認しましょう。
負債400・利率5%・税率30%
年間利息は20。税務上の控除による節税効果を6と仮定すると、実質的な資金コストは14です。率に直せば14÷400=3.5%で、5%×(1-30%)と一致します。
「式に税率がある」のではなく「利息が税金を減らすから税引後コストになる」と理解してください。
公認会計士試験で押さえたいポイント
- 税引前負債コストと税引後負債コストを区別する
- 節税効果は利息控除から生じること
- WACC式で税率を掛ける位置を正確にする
本試験では、知識を単独で問うだけでなく、複数論点を組み合わせて判断させることがあります。問題文の事実関係を分解し、どの論点を使うのかを先に特定することが大切です。
受験生が間違えやすいポイント
- 負債残高そのものに1-税率を掛ける
- 株主資本コストにも1-税率を掛ける
- 税率が問題文で複数あるとき何の税率か確認しない
ミスの多くは、似た用語を同じものとして扱ったり、計算式だけを思い出そうとしたりすると起こります。結論の前に「何を調整しているのか」を言葉にしてください。
問題を解くときの手順
- 問題文から対象となる取引・制度を特定する
- 基準となる金額・状態を置く
- 必要な調整を一つずつ加減する
- 最後に仕訳・数値・結論の整合性を確認する
この順番を固定すると、問題の見た目が変わっても処理の軸がぶれにくくなります。
暗記ではなく理解するための覚え方
負債利子100を払う場面を想像し、『税金が30減れば実質70負担』と金額で理解してから率へ戻しましょう。
一度、自分の言葉で「なぜそうなるのか」を30秒で説明してみてください。説明できない部分が、そのまま復習すべきポイントになります。
関連論点とのつながり
MM理論、資本構成、タックスシールド、企業価値評価へ進むと『負債を使う価値』の議論につながります。
よくある質問
税率が0%ならどうなりますか?
節税効果がなければ税引後負債コストは税引前負債コストと同じになります。
支払利息が税務上控除できない場合も1-税率を掛けますか?
節税効果が認められない前提なら機械的に同じ調整をするべきではありません。公認会計士試験では問題文の税務前提に従ってください。
受験年度の基準を確認してください
経営学は理論・計算ともに出題範囲が広いため、受験年度の出題範囲と最新教材を確認し、本記事で考え方を整理したうえで問題演習につなげてください。
まとめ
WACCの負債コストと「1-税率」は、用語や公式を暗記するだけではなく、処理の目的と前後関係を理解することが得点につながります。まず基本構造を自分の言葉で説明できる状態にし、その後に問題演習で定着させましょう。
WACCの負債コストと「1-税率」で迷ったら、結論を思い出す前に「何を表すための処理か」に戻るのが近道です。