CAPMとβ(ベータ)は、公認会計士試験で「処理は覚えたが、意味がつながらない」となりやすい論点です。
CAPMは計算式を覚えても、βが何を測っているのか分からないと応用問題で崩れます。βは個別企業の値動きの大きさそのものではなく、市場全体の変動に対してその資産の収益率がどの程度反応するかを表す指標です。
先に結論
CAPMは、分散投資された市場を前提に、資産の期待収益率を無リスク利子率と市場リスクに対する対価から考えるモデルです。

- CAPMとβ(ベータ)の意味が曖昧な方
- 公式・仕訳・結論を丸暗記している方
- 本試験で迷わない考え方を身につけたい方
公認会計士監修
公認会計士試験では、結論や公式だけを覚えるより「なぜその処理・制度になるのか」を理解したほうが、初見問題や論文式にも対応しやすくなります。本記事では受験生がつまずきやすい部分を中心に、できるだけ順序立てて解説します。
CAPMとβ(ベータ)の基本を整理
代表的な式は、期待収益率=無リスク利子率+β×市場リスクプレミアムです。式の中心にあるβは、資産の収益率と市場収益率の共分散を市場収益率の分散で割ったものとして表されます。
なぜ企業固有のリスク全部にリスクプレミアムが付かないのでしょうか。十分に分散投資すれば、企業固有のリスクはポートフォリオ内で相殺・低減できると考えるからです。
なぜそうなるのか?仕組みから理解しよう
一方、市場全体の景気変動などから生じるシステマティック・リスクは分散投資しても消しにくいため、その負担に対して期待収益率が要求されます。
βが1なら市場と同程度、1より大きければ市場変動により敏感、0に近ければ市場との連動が小さいという基本イメージを持つと式が理解しやすくなります。
具体例で確認
まずは数字や場面を単純化して、論点の骨格だけを確認しましょう。
無リスク2%・市場期待収益率8%・β1.5
市場リスクプレミアムは8%-2%=6%です。CAPMによる期待収益率は2%+1.5×6%=11%となります。βが高いほど、市場リスクへの感応度が高いため要求されるリスクプレミアムも大きくなる構造です。
式を代入する前に『無リスク部分+市場リスクを負う対価』と言葉で分解してください。
公認会計士試験で押さえたいポイント
- 市場リスクプレミアム=市場期待収益率-無リスク利子率
- βはシステマティック・リスクの尺度として使われる
- CAPMで求めた株主資本コストをWACCへつなげる
本試験では、知識を単独で問うだけでなく、複数論点を組み合わせて判断させることがあります。問題文の事実関係を分解し、どの論点を使うのかを先に特定することが大切です。
受験生が間違えやすいポイント
- βを株価の標準偏差そのものと考える
- 市場期待収益率をそのままβ倍する
- 分散可能リスクにもCAPM上のプレミアムが付くと考える
ミスの多くは、似た用語を同じものとして扱ったり、計算式だけを思い出そうとしたりすると起こります。結論の前に「何を調整しているのか」を言葉にしてください。
問題を解くときの手順
- 問題文から対象となる取引・制度を特定する
- 基準となる金額・状態を置く
- 必要な調整を一つずつ加減する
- 最後に仕訳・数値・結論の整合性を確認する
この順番を固定すると、問題の見た目が変わっても処理の軸がぶれにくくなります。
暗記ではなく理解するための覚え方
CAPMは『安全資産の利回り+市場に付き合う度合い×市場リスクの値段』と日本語に置き換えると覚えやすいです。
一度、自分の言葉で「なぜそうなるのか」を30秒で説明してみてください。説明できない部分が、そのまま復習すべきポイントになります。
関連論点とのつながり
ポートフォリオ理論、証券市場線、株主資本コスト、WACCへつなげるとファイナンス分野の中心軸になります。
よくある質問
βがマイナスになることはありますか?
理論上、市場と逆方向に動く傾向が強い資産では負のβもあり得ます。試験では与えられたβの経済的意味を確認してください。
βが2なら株価が必ず市場の2倍動きますか?
βは収益率の市場に対する統計的な感応度を示す指標で、毎回機械的に2倍動くことを保証するものではありません。
受験年度の基準を確認してください
経営学は理論・計算ともに出題範囲が広いため、受験年度の出題範囲と最新教材を確認し、本記事で考え方を整理したうえで問題演習につなげてください。
まとめ
CAPMとβ(ベータ)は、用語や公式を暗記するだけではなく、処理の目的と前後関係を理解することが得点につながります。まず基本構造を自分の言葉で説明できる状態にし、その後に問題演習で定着させましょう。
CAPMとβ(ベータ)で迷ったら、結論を思い出す前に「何を表すための処理か」に戻るのが近道です。
