所得税10種類と損益通算は、公認会計士試験で「処理は覚えたが、意味がつながらない」となりやすい論点です。
所得税は10種類の所得区分を覚えるだけでは足りません。各所得で収入・必要経費の計算方法や課税方式が異なり、赤字が出たときに他の所得と通算できる範囲も違います。
先に結論
所得税は、所得の発生原因や性質に応じて利子、配当、不動産、事業、給与、退職、山林、譲渡、一時、雑の10種類に区分します。

- 所得税10種類と損益通算の意味が曖昧な方
- 公式・仕訳・結論を丸暗記している方
- 本試験で迷わない考え方を身につけたい方
公認会計士監修
公認会計士試験では、結論や公式だけを覚えるより「なぜその処理・制度になるのか」を理解したほうが、初見問題や論文式にも対応しやすくなります。本記事では受験生がつまずきやすい部分を中心に、できるだけ順序立てて解説します。
所得税10種類と損益通算の基本を整理
区分する理由は、所得ごとに担税力や発生の仕方が異なるため、所得金額の計算方法や課税方式、控除等を変えているからです。
損益通算は、ある所得で生じた損失を他の所得の黒字と相殺する仕組みですが、どの赤字でも自由に通算できるわけではありません。
なぜそうなるのか?仕組みから理解しよう
受験対策では、まず10区分を『資産運用系・事業系・勤労系・資産譲渡系・臨時所得系』などに分け、その後に損益通算対象となる所得と例外を整理すると覚えやすくなります。
特に不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得に関する損失と、その中の通算制限・例外が狙われやすいため注意が必要です。
具体例で確認
まずは数字や場面を単純化して、論点の骨格だけを確認しましょう。
不動産所得が赤字、給与所得が黒字
不動産所得の損失が生じた場合、原則的な損益通算の対象となり得ますが、不動産所得の赤字の中にも土地取得借入金利子等、通算対象から除かれる部分があります。単に『不動産赤字だから全部給与と相殺』としないことが大切です。
所得区分→所得金額→損益通算という順序を崩さないでください。
公認会計士試験で押さえたいポイント
- 10種類の所得区分と計算方法を対応させる
- 損益通算できる損失の範囲と例外を確認する
- 総合課税・分離課税の違いも併せて整理する
本試験では、知識を単独で問うだけでなく、複数論点を組み合わせて判断させることがあります。問題文の事実関係を分解し、どの論点を使うのかを先に特定することが大切です。
受験生が間違えやすいポイント
- 雑所得の赤字を他所得と自由に通算する
- 譲渡所得の赤字を資産種類を見ずに通算する
- 損益通算と純損失の繰越控除を同じものと考える
ミスの多くは、似た用語を同じものとして扱ったり、計算式だけを思い出そうとしたりすると起こります。結論の前に「何を調整しているのか」を言葉にしてください。
問題を解くときの手順
- 問題文から対象となる取引・制度を特定する
- 基準となる金額・状態を置く
- 必要な調整を一つずつ加減する
- 最後に仕訳・数値・結論の整合性を確認する
この順番を固定すると、問題の見た目が変わっても処理の軸がぶれにくくなります。
暗記ではなく理解するための覚え方
10種類をただ唱えるより、『誰が何をして得たお金か』という発生原因で分類してください。その後、赤字に赤ペンを付け『どこへ持って行ける?』と確認します。
一度、自分の言葉で「なぜそうなるのか」を30秒で説明してみてください。説明できない部分が、そのまま復習すべきポイントになります。
関連論点とのつながり
青色申告、純損失、総合課税・分離課税とつなげると所得税計算の全体像が見えます。
よくある質問
給与所得で赤字は出ますか?
給与所得は給与所得控除等により計算され、通常の事業のように必要経費超過による赤字を作る構造ではありません。所得ごとの計算構造を確認してください。
損益通算した後にまだ赤字が残ったらどうしますか?
一定の要件の下で純損失の繰越控除等が問題になります。損益通算と繰越控除は計算順序・要件を分けて覚えてください。
受験年度の基準を確認してください
租税法は年度改正の影響が大きい科目です。税率・金額基準・適用要件は受験年度の法令基準日と最新教材で必ず確認してください。
まとめ
所得税10種類と損益通算は、用語や公式を暗記するだけではなく、処理の目的と前後関係を理解することが得点につながります。まず基本構造を自分の言葉で説明できる状態にし、その後に問題演習で定着させましょう。
所得税10種類と損益通算で迷ったら、結論を思い出す前に「何を表すための処理か」に戻るのが近道です。