減価償却超過額は、公認会計士試験で「処理は覚えたが、意味がつながらない」となりやすい論点です。
会計上の減価償却費と税務上の償却限度額が違うと、当期に損金にできない超過額が生じます。しかし、その差額が翌期以降に認容される仕組みまで理解しないと留保の動きが分かりません。
先に結論
法人税では、減価償却費について損金経理した金額のうち、税法上の償却限度額までを損金算入するという基本構造があります。

- 減価償却超過額の意味が曖昧な方
- 公式・仕訳・結論を丸暗記している方
- 本試験で迷わない考え方を身につけたい方
公認会計士監修
公認会計士試験では、結論や公式だけを覚えるより「なぜその処理・制度になるのか」を理解したほうが、初見問題や論文式にも対応しやすくなります。本記事では受験生がつまずきやすい部分を中心に、できるだけ順序立てて解説します。
減価償却超過額の基本を整理
会計上120を費用計上したのに、税務上の償却限度額が100なら、差額20は当期の損金として認められない償却超過額になります。
会計利益では120を差し引いているため、法人税所得を求める別表4では20を加算する方向です。この差額は典型的に留保として管理されます。
なぜそうなるのか?仕組みから理解しよう
翌期以降、会計上の償却費が税務上の償却可能額を下回るなど、税務上認容できる余地が生じれば過年度超過額の一部が認容されます。
そのときは別表4で減算留保となり、別表5(1)に残っていた留保差額が減少します。
具体例で確認
まずは数字や場面を単純化して、論点の骨格だけを確認しましょう。
当期超過20、翌期に10認容
当期は償却超過額20を加算留保し、税務上の差額20を残します。翌期に10が認容されるなら、翌期は10を減算留保し、残る差額は10になります。この時系列が分かれば『なぜ翌期に減算?』が自然に理解できます。
当期だけの仕訳ではなく、差額の残高を年度をまたいで追ってください。
公認会計士試験で押さえたいポイント
- 償却限度額と損金経理額を比較する
- 超過額は加算留保する典型論点
- 翌期認容は減算留保し残高を減らす
本試験では、知識を単独で問うだけでなく、複数論点を組み合わせて判断させることがあります。問題文の事実関係を分解し、どの論点を使うのかを先に特定することが大切です。
受験生が間違えやすいポイント
- 超過額を永久に損金不算入だと思う
- 翌期認容を当期償却費だけで判断する
- 会計上の帳簿価額と税務上の帳簿価額を混同する
ミスの多くは、似た用語を同じものとして扱ったり、計算式だけを思い出そうとしたりすると起こります。結論の前に「何を調整しているのか」を言葉にしてください。
問題を解くときの手順
- 問題文から対象となる取引・制度を特定する
- 基準となる金額・状態を置く
- 必要な調整を一つずつ加減する
- 最後に仕訳・数値・結論の整合性を確認する
この順番を固定すると、問題の見た目が変わっても処理の軸がぶれにくくなります。
暗記ではなく理解するための覚え方
『超過=税務上まだ費用にしていない貯金』と考え、将来使える余地が来たら認容して取り崩すイメージです。
一度、自分の言葉で「なぜそうなるのか」を30秒で説明してみてください。説明できない部分が、そのまま復習すべきポイントになります。
関連論点とのつながり
別表4・別表5(1)と税効果会計を横断して学ぶのに最適な論点です。
よくある質問
償却不足額は翌期へ繰り越せますか?
償却超過額の繰越しと同じ感覚で考えないことが重要です。税務上の取扱いは当期の損金経理額・償却限度額等に基づいて判断します。
税効果会計でも一時差異になりますか?
会計上の資産簿価と税務上の資産簿価に差が生じるため税効果会計の検討対象となる場合がありますが、税務申告書上の留保と税効果会計はそれぞれのルールで処理します。
受験年度の基準を確認してください
租税法は年度改正の影響が大きい科目です。税率・金額基準・適用要件は受験年度の法令基準日と最新教材で必ず確認してください。
まとめ
減価償却超過額は、用語や公式を暗記するだけではなく、処理の目的と前後関係を理解することが得点につながります。まず基本構造を自分の言葉で説明できる状態にし、その後に問題演習で定着させましょう。
減価償却超過額で迷ったら、結論を思い出す前に「何を表すための処理か」に戻るのが近道です。