受取配当等の益金不算入は、公認会計士試験で「処理は覚えたが、意味がつながらない」となりやすい論点です。
会計上は受取配当金を収益計上するのに、法人税では全部または一部を益金不算入とする仕組みがあります。制度趣旨を知らないと割合や区分だけの暗記になります。
先に結論
法人が他の法人から配当を受ける場合、その配当の原資となる利益には、配当を行う法人の段階ですでに法人税が課されていることがあります。

- 受取配当等の益金不算入の意味が曖昧な方
- 公式・仕訳・結論を丸暗記している方
- 本試験で迷わない考え方を身につけたい方
公認会計士監修
公認会計士試験では、結論や公式だけを覚えるより「なぜその処理・制度になるのか」を理解したほうが、初見問題や論文式にも対応しやすくなります。本記事では受験生がつまずきやすい部分を中心に、できるだけ順序立てて解説します。
受取配当等の益金不算入の基本を整理
受取法人でも配当全額へそのまま課税すると、法人間で利益が移転するたびに法人税負担が重なる問題が生じます。
そこで法人間配当の二重課税を調整する趣旨から、株式の保有割合や区分等に応じて、受取配当等の一定額を益金に算入しない制度が設けられています。
なぜそうなるのか?仕組みから理解しよう
試験で難しいのは、株式等の区分、保有期間、負債利子との関係など、益金不算入額の計算要件です。
制度趣旨を理解したうえで、受験年度に適用される区分・割合・計算方法を表で整理すると暗記が安定します。
具体例で確認
まずは数字や場面を単純化して、論点の骨格だけを確認しましょう。
配当100を会計上収益計上した場合
会計利益には受取配当100が含まれます。税法上、そのうち一定額が益金不算入となるなら、別表4では会計利益から税務所得へ直すため減算方向の調整が必要になります。具体的な不算入額は株式区分等によって異なります。
『会計では収益、税務では二重課税調整』という違いを別表4へ結び付けてください。
公認会計士試験で押さえたいポイント
- 制度趣旨は法人間配当の二重課税調整であること
- 株式等の区分ごとに不算入割合等を確認する
- 別表4では益金不算入額を減算する方向で捉える
本試験では、知識を単独で問うだけでなく、複数論点を組み合わせて判断させることがあります。問題文の事実関係を分解し、どの論点を使うのかを先に特定することが大切です。
受験生が間違えやすいポイント
- 受取配当はすべて100%益金不算入と覚える
- 所得税の配当控除と同じ制度だと考える
- 会計上の受取配当金額と税務上の益金不算入額を同額と決めつける
ミスの多くは、似た用語を同じものとして扱ったり、計算式だけを思い出そうとしたりすると起こります。結論の前に「何を調整しているのか」を言葉にしてください。
問題を解くときの手順
- 問題文から対象となる取引・制度を特定する
- 基準となる金額・状態を置く
- 必要な調整を一つずつ加減する
- 最後に仕訳・数値・結論の整合性を確認する
この順番を固定すると、問題の見た目が変わっても処理の軸がぶれにくくなります。
暗記ではなく理解するための覚え方
最初に『なぜ不算入?=法人段階の二重課税調整』を押さえ、割合・区分は最新版の表で後から載せる方法がおすすめです。
一度、自分の言葉で「なぜそうなるのか」を30秒で説明してみてください。説明できない部分が、そのまま復習すべきポイントになります。
関連論点とのつながり
別表4、みなし配当、所得税の配当所得と横断比較すると『配当』に関する税制を整理できます。
よくある質問
すべての配当が益金不算入制度の対象ですか?
対象となる配当等や株式区分には税法上の要件があります。受験年度の最新法令・教材で対象範囲を確認してください。
個人が受け取る配当の配当控除と同じですか?
異なる制度です。法人税の受取配当等の益金不算入と、所得税の配当控除は納税主体・計算方法とも別に整理してください。
受験年度の基準を確認してください
租税法は年度改正の影響が大きい科目です。税率・金額基準・適用要件は受験年度の法令基準日と最新教材で必ず確認してください。
まとめ
受取配当等の益金不算入は、用語や公式を暗記するだけではなく、処理の目的と前後関係を理解することが得点につながります。まず基本構造を自分の言葉で説明できる状態にし、その後に問題演習で定着させましょう。
受取配当等の益金不算入で迷ったら、結論を思い出す前に「何を表すための処理か」に戻るのが近道です。