会社法423条と429条は、公認会計士試験で「処理は覚えたが、意味がつながらない」となりやすい論点です。
取締役の責任問題では、会社に対する責任と第三者に対する責任の根拠条文・要件を混同しやすいため、誰が損害を受け、誰に対して請求するのかを最初に確認します。
先に結論
会社法423条は役員等の会社に対する任務懈怠責任、429条は役員等の第三者に対する損害賠償責任を中心に定めています。似て見えますが責任の相手方と要件構造が違います。

- 会社法423条と429条の意味が曖昧な方
- 公式・仕訳・結論を丸暗記している方
- 本試験で迷わない考え方を身につけたい方
公認会計士監修
公認会計士試験では、結論や公式だけを覚えるより「なぜその処理・制度になるのか」を理解したほうが、初見問題や論文式にも対応しやすくなります。本記事では受験生がつまずきやすい部分を中心に、できるだけ順序立てて解説します。
会社法423条と429条の基本を整理
423条では、役員等が会社に対する任務を怠り、それによって会社に損害が生じたかを考えます。善管注意義務・忠実義務、利益相反取引など他の条文と結び付きます。
429条は、第三者保護のため、役員等が職務を行うについて悪意または重大な過失がある場合など、法定要件の下で第三者への責任を認める制度です。
なぜそうなるのか?仕組みから理解しよう
株主が損害を受けた場合も、会社損害の反射的な影響なのか、株主が直接損害を受けたのかによって整理が必要です。
事例問題では、条文番号を思い出す前に『損害を受けた主体』『請求相手』『義務違反の内容』を図にすると要件を当てはめやすくなります。
具体例で確認
まずは数字や場面を単純化して、論点の骨格だけを確認しましょう。
無謀な取引で会社が損失を出した場合
取締役が必要な情報収集や検討をせず重大な取引を行い会社に損害が生じたなら、まず会社に対する423条責任を検討します。債権者など第三者が役員の悪意・重過失ある職務執行によって直接損害を受けた場面では429条の検討が問題になります。
『会社が被害者か、第三者が被害者か』を主語にしてください。
公認会計士試験で押さえたいポイント
- 423条は会社に対する任務懈怠責任であること
- 429条は第三者責任で要件が異なること
- 経営判断原則、責任免除・軽減、代表訴訟との関係
本試験では、知識を単独で問うだけでなく、複数論点を組み合わせて判断させることがあります。問題文の事実関係を分解し、どの論点を使うのかを先に特定することが大切です。
受験生が間違えやすいポイント
- 423条と429条で同じ過失要件だと思う
- 株主の損害をすべて第三者損害として429条へ当てる
- 任務懈怠と損害・因果関係を分けずに書く
ミスの多くは、似た用語を同じものとして扱ったり、計算式だけを思い出そうとしたりすると起こります。結論の前に「何を調整しているのか」を言葉にしてください。
問題を解くときの手順
- 問題文から対象となる取引・制度を特定する
- 基準となる金額・状態を置く
- 必要な調整を一つずつ加減する
- 最後に仕訳・数値・結論の整合性を確認する
この順番を固定すると、問題の見た目が変わっても処理の軸がぶれにくくなります。
暗記ではなく理解するための覚え方
答案の冒頭で矢印を書き「誰→誰へ責任追及?」を示すだけで、条文選択ミスが減ります。
一度、自分の言葉で「なぜそうなるのか」を30秒で説明してみてください。説明できない部分が、そのまま復習すべきポイントになります。
関連論点とのつながり
善管注意義務、経営判断原則、利益相反、株主代表訴訟を423条から枝分かれさせて学ぶと体系化できます。
よくある質問
株主は423条に基づいて直接取締役へ請求できますか?
423条の責任は原則として会社に対する責任です。会社が責任追及しない場合に株主代表訴訟という制度が問題になります。
429条は会社が倒産したときだけ使う条文ですか?
倒産場面に限られません。第三者が法定要件を満たす損害を被った場合に問題となります。具体的な要件・判例を教材で整理してください。
受験年度の基準を確認してください
企業法は法改正の影響を受けます。受験年度の出題範囲・法令基準日を必ず確認し、条文番号や要件は最新の法令・受験指導校の教材で最終確認してください。
まとめ
会社法423条と429条は、用語や公式を暗記するだけではなく、処理の目的と前後関係を理解することが得点につながります。まず基本構造を自分の言葉で説明できる状態にし、その後に問題演習で定着させましょう。
会社法423条と429条で迷ったら、結論を思い出す前に「何を表すための処理か」に戻るのが近道です。