KAM・強調事項・その他の事項は、公認会計士試験で「処理は覚えたが、意味がつながらない」となりやすい論点です。
監査報告書の追記情報は、どれも本文に追加説明が載るため混同されがちです。まず「財務諸表に表示・注記された事項か」「監査上特に重要な事項か」「利用者理解に必要な別事項か」を分けます。
先に結論
KAM(監査上の主要な検討事項)は、当年度の財務諸表監査において監査人が特に重要であると判断した事項です。監査役等とのコミュニケーション事項から選定されます。

- KAM・強調事項・その他の事項の意味が曖昧な方
- 公式・仕訳・結論を丸暗記している方
- 本試験で迷わない考え方を身につけたい方
公認会計士監修
公認会計士試験では、結論や公式だけを覚えるより「なぜその処理・制度になるのか」を理解したほうが、初見問題や論文式にも対応しやすくなります。本記事では受験生がつまずきやすい部分を中心に、できるだけ順序立てて解説します。
KAM・強調事項・その他の事項の基本を整理
強調事項は、財務諸表に適切に表示・注記されている事項について、利用者が財務諸表を理解するうえで特に重要であるため注意を喚起するものです。
その他の事項は、財務諸表に表示・注記された事項以外で、監査、監査人の責任、監査報告書の理解に関連し、利用者にとって重要な事項を記載するものです。
なぜそうなるのか?仕組みから理解しよう
KAMは「監査人がどこを特に重視して監査したか」という監査プロセスの透明性に重点があります。強調事項は「財務諸表のこの注記を特に見てほしい」という注意喚起です。
いずれも、それ自体が監査意見を限定するための代替手段ではありません。意見への影響と追記情報は別軸で考えます。
具体例で確認
まずは数字や場面を単純化して、論点の骨格だけを確認しましょう。
重要な減損見積りを監査した場合
重要な減損見積りが高い監査上の注意を要し、監査人が特に重要と判断すればKAM候補になります。一方、適切に注記された重大な後発事象について、その理解が財務諸表利用者に特に重要なら強調事項を検討する場面があります。具体的な適用は基準の要件に従います。
用語ではなく「誰の何を伝える区分か」で比較してください。
公認会計士試験で押さえたいポイント
- KAMは監査人が特に重要と判断した監査事項であること
- 強調事項は財務諸表に適切に表示・注記された事項への注意喚起であること
- 追記情報と監査意見の除外事項を混同しないこと
本試験では、知識を単独で問うだけでなく、複数論点を組み合わせて判断させることがあります。問題文の事実関係を分解し、どの論点を使うのかを先に特定することが大切です。
受験生が間違えやすいポイント
- KAMがあると限定付適正意見になると思う
- KAMと強調事項を同じ事項について自由に使い分ける
- その他の事項を財務諸表注記の補足だと考える
ミスの多くは、似た用語を同じものとして扱ったり、計算式だけを思い出そうとしたりすると起こります。結論の前に「何を調整しているのか」を言葉にしてください。
問題を解くときの手順
- 問題文から対象となる取引・制度を特定する
- 基準となる金額・状態を置く
- 必要な調整を一つずつ加減する
- 最後に仕訳・数値・結論の整合性を確認する
この順番を固定すると、問題の見た目が変わっても処理の軸がぶれにくくなります。
暗記ではなく理解するための覚え方
「KAM=監査の重点、強調=財務諸表の注記へ注目、その他=監査報告書理解のための別事項」と三つに分けましょう。
一度、自分の言葉で「なぜそうなるのか」を30秒で説明してみてください。説明できない部分が、そのまま復習すべきポイントになります。
関連論点とのつながり
監査報告書全体の構成、継続企業の前提、除外事項付意見と並べて比較すると定着しやすくなります。
よくある質問
KAMは悪い会社ほど多いのですか?
単純に会社の良し悪しや不正の数を示すものではありません。監査上特に重要と判断した事項を記載する制度です。
KAMは監査意見の代わりになりますか?
なりません。KAMは個別事項について別個の監査意見を表明するものでも、除外事項をKAMに書いて済ませるものでもありません。
受験年度の基準を確認してください
監査論は監査基準・監査基準報告書等の改訂が反映されます。受験年度の出題範囲に対応した最新版の基準・教材で用語と要求事項を確認してください。
まとめ
KAM・強調事項・その他の事項は、用語や公式を暗記するだけではなく、処理の目的と前後関係を理解することが得点につながります。まず基本構造を自分の言葉で説明できる状態にし、その後に問題演習で定着させましょう。
KAM・強調事項・その他の事項で迷ったら、結論を思い出す前に「何を表すための処理か」に戻るのが近道です。