設備投資のNPV計算は、公認会計士試験で「処理は覚えたが、意味がつながらない」となりやすい論点です。
設備投資問題では、減価償却費を費用として計算した後にまた足し戻すため、「二重処理では?」と感じる受験生が少なくありません。
先に結論
NPVは、投資によって生じる将来キャッシュフローを現在価値へ割り引き、初期投資額などと比較して投資価値を判断する方法です。

- 設備投資のNPV計算の意味が曖昧な方
- 公式・仕訳・結論を丸暗記している方
- 本試験で迷わない考え方を身につけたい方
公認会計士監修
公認会計士試験では、結論や公式だけを覚えるより「なぜその処理・制度になるのか」を理解したほうが、初見問題や論文式にも対応しやすくなります。本記事では受験生がつまずきやすい部分を中心に、できるだけ順序立てて解説します。
設備投資のNPV計算の基本を整理
したがって最終的に必要なのは会計上の利益ではなく、投資によって増減するキャッシュフローです。減価償却費は税引前利益を計算するための費用ですが、それ自体は当期の現金支出ではありません。
ただし減価償却費は無意味ではありません。減価償却費を計上すると課税所得が小さくなり、法人税等の支払額を減らす効果が生じます。
なぜそうなるのか?仕組みから理解しよう
そこで典型的な計算では、売上-現金支出-減価償却費で課税所得を求め、税金を計算した後、非資金費用である減価償却費を足し戻してキャッシュフローへ戻します。
「減価償却費そのものはキャッシュアウトではないが、節税効果を通じてキャッシュフローへ影響する」という二面性を理解してください。
具体例で確認
まずは数字や場面を単純化して、論点の骨格だけを確認しましょう。
売上500・現金費用300・減価償却費100・税率30%の仮定
課税所得は500-300-100=100、税金は30。税引後利益は70です。ここへ非資金費用の減価償却費100を足し戻すと営業キャッシュフローは170となります。別の見方では、税引前の現金収支200から税金30を引いて170です。
減価償却費を最初から無視すると税金が60となり、節税効果を落としてしまいます。
公認会計士試験で押さえたいポイント
- NPVは利益ではなくキャッシュフローで計算する
- 減価償却費は税金計算には影響する
- 運転資本増減・残存価額・処分損益の税効果も確認する
本試験では、知識を単独で問うだけでなく、複数論点を組み合わせて判断させることがあります。問題文の事実関係を分解し、どの論点を使うのかを先に特定することが大切です。
受験生が間違えやすいポイント
- 税引後利益をそのままCFとして使う
- 減価償却費を二度費用控除する
- 初期投資と将来CFの時点を取り違える
ミスの多くは、似た用語を同じものとして扱ったり、計算式だけを思い出そうとしたりすると起こります。結論の前に「何を調整しているのか」を言葉にしてください。
問題を解くときの手順
- 問題文から対象となる取引・制度を特定する
- 基準となる金額・状態を置く
- 必要な調整を一つずつ加減する
- 最後に仕訳・数値・結論の整合性を確認する
この順番を固定すると、問題の見た目が変わっても処理の軸がぶれにくくなります。
暗記ではなく理解するための覚え方
「税金を計算するときは減価償却あり、CFへ戻すときは足し戻す」と二段階で覚えてください。
一度、自分の言葉で「なぜそうなるのか」を30秒で説明してみてください。説明できない部分が、そのまま復習すべきポイントになります。
関連論点とのつながり
経営学のDCF・FCF・WACCと直結する論点です。会計学の設備投資でキャッシュフロー作成を固めると経営学の計算も安定します。
よくある質問
定額法と定率法でNPVは変わりますか?
他の条件が同じでも、減価償却費の計上時期が変われば節税効果の発生時期が変わり、現在価値に影響する場合があります。問題の前提に従ってください。
減価償却費を足し戻すなら最初から引かなければよいのでは?
税金がなければ単純化できる場面もありますが、通常は減価償却費が課税所得と税額に影響します。その節税効果を正しく反映するため、いったん利益計算へ含めます。
受験年度の基準を確認してください
会計基準や出題範囲は改訂されることがあります。受験年度の出題範囲と最新教材を優先し、本記事は論点の「考え方」を理解する補助として利用してください。
まとめ
設備投資のNPV計算は、用語や公式を暗記するだけではなく、処理の目的と前後関係を理解することが得点につながります。まず基本構造を自分の言葉で説明できる状態にし、その後に問題演習で定着させましょう。
設備投資のNPV計算で迷ったら、結論を思い出す前に「何を表すための処理か」に戻るのが近道です。
