日商簿記3級対策~「商品有高帳」~
今回は「商品有高帳」について解説していきます。
商品有高帳について
今回は、商品有高帳について説明します。
商品有高帳とは、仕入や売上などの取引のつど、仕入れをした商品や売り上げた商品の数量、単価、合計金額を記入して、商品の有高、つまりどのくらい在庫があるのかを管理する補助元帳です。
商品有高帳の記入方法
商品有高帳の記入方法について説明します。
試験では2つの方法を学習します
「先入先出法」と「移動平均法」です。
この2つの方法の違いは、売り上げた時の「商品の払出単価」の違いです。
商品の払出単価とは、在庫として手元にある商品の単価です。その商品はいつも同じ値段で仕入れる事ができるとは限りません。一回一回仕入れ値が異なるのが通常です。
このような時に、個々の商品の単価をどうやって算出するのかということで「商品有高帳」への記入方法が変わります。
例えば、商品を1個200円の商品が手元にあります。もう一つ商品を仕入れました。前に買った時の値段より高くなっていて、1個400円です。
手元には1個200円の商品と1個400円の商品が2つあります。
そのうちの1個を500円売り上げました。この時、売り上げた商品の払出単価はいくらになるでしょうか。
先に仕入れた1個200円の方を先に売ったとして200円でしょうか。それとも2個の平均300円が単価になるでしょうか。
このような考え方が払出単価の基礎になります。
では、より詳しく「先入先出法」と「移動平均法」を説明していきます。
先入先出法
「先入先出法」とは、先に仕入れたものを先に払い出すという方法です。
以下の例で考えています。
仕入②:さらに商品を5個、単価200円仕入れた。
売上①:そのうち8個売り上げた。
先入先出法では、先に仕入れた単価100円の5個と、単価200円で仕入れた3個を売上で払いだしたと考えて払出単価を計算します。
移動平均法
上記と同じ例で考えます。
移動平均法では、最初に5個、単価100円仕入れて手元に商品がある状態から、追加で5個、単価200円仕入れたときに、Aという商品の単価を計算しなおします。
5個×100円=500円
5個×200円=1,000円
計10個、1,500円
となります。
この合計額1,500円を元に商品の単価を計算しなおします。
1,500円÷10個=150円。
となります。
そして売上です。
単価150円の商品を8個売り上げたと計算されます。
商品有高帳の例
取引例を元に商品有高帳への記入方法を説明します。
6/1 前月からの商品Aの繰越高が10個(単価200円)ある。
6/20 商品Aを20個(単価350円)を仕入れた。
6/25 商品Aを15個(単価400円)で売り上げた。
6/30 月末の為、商品有高帳を締めた。
払出単価の決定方法は、先入先出法として記入すると、以下のようになります。
次は、払出単価の決定方法を移動平均法として記入すると、以下のようになります。
商品有高帳の各項目の記入のポイントについて説明します。
①受入欄
仕入れた商品の数量・単価・金額を記入。
②払出欄
売り上げた商品の数量・単価・金額を記入。
先入先出法の場合
現在残っている商品のうち、先に仕入れたものから払い出していきます。その商品がなくなったら、次に仕入れたものを払い出してきます。今回の取引例では、まずは前月繰越分の商品を先に払出し、足りない分は新しく仕入れた商品を払い出します。
同じ取引で単価の異なる商品がある場合は「{」を使ってまとめます。
移動平均法の場合
仕入れた際に、残高の単価を計算しなおします。その計算後の単価を記入。
③残高欄
売上または仕入後の最新の在庫情報を記入。
先入先出法の場合
仕入単価ごとに行を分けて記入。同じ取引で複数の単価の商品がある場合は「{」を使ってまとめます。
移動平均法の場合
仕入れた際に合計金額を個数で割り、平均単価を算定しなおします。そしえ求めた平均単価を、新しい単価として記入。
④帳簿の締め
摘要欄に「次月繰越」と記入。払出欄に一つ上の行の残高欄をそのまま転写します。
受入欄、払出欄の合計を記入。受入欄と払出欄の数量、金額は一致します。
最後に二重線で締めます。
学習のポイント(実務小話)
今回は、商品有高帳について解説しました。
商品有高帳の問題を苦手とする人は多いです。
問題分の情報量が多く、とても複雑で面倒に感じてしまうからかもしれません。
しかし見掛け倒しで、その取引を冷静に順番に追っていくだけで解けてしまいます。なんら難しいことはありません。
このような問題はサービス問題と思って間違いないです。
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