日商簿記3級対策~「仕訳の基本」~
今回は「仕訳の基本」について解説していきます。
仕訳の基本について
今回は、仕訳の基本について説明します。
仕訳とは何かについて、仕訳例も使いつつご紹介します。
仕訳とは?
仕訳とは「取引」の記入です。
簿記上の取引を「借方」と「貸方」に分けて、仕訳帳に記入することです。
仕訳をできるようにすることは、簿記の基礎中の基礎になります。
では、簿記上の取引とはなんでしょうか。
簿記上の取引とは
「簿記上の取引」とは、簡単にいうと会社の財産などが増減する取引のことを指します。
簿記上は、具体的に「資産」「負債」「 純資産」「収益」「費用」という5つの要素が増減することを意味します。
簿記上の取引が発生すると、「資産」「負債」「 純資産」「収益」「費用」のどれかが動きます。
仕訳の「借方」「貸方」について
簿記上の取引において、すべての勘定は「借方」と「貸方」に分けられます。
仕訳の「借方」が左側で、「貸方」が右側です。
たとえば資産が増えれば借方(左側)に記入。また負債が増えたら貸方(右側)に仕訳します。
慣れてくると条件反射的に左側、右側が分かるようになります。
「借方」「貸方」の意味についてはスッキリしない方もおられるかもしれませんが、単に左、右の意味ということで先に進みましょう。
「借方」と「貸方」のルール
最初は、ある取引について「これは借方?貸方?」と迷うケースがあると思います。
まずは以下のルールを覚えていきましょう。
無理にこれだけ覚えるとつらいのですから、大枠を把握して、問題を解きましょう。そのうちに自然に身についてきます。
項目 | 増えた | 減った |
資産 | 借方 | 貸方 |
負債 | 貸方 | 借方 |
純資産 | 貸方 | 借方 |
収益 | 貸方 | 借方 |
費用 | 借方 | 貸方 |
「資産」「費用」は、増減が同じ動きをするグループです。増えたら「借方」、減ったら「貸方」です。
「負債」「純資産」「収益」は増減が同じ動きをするグループです。増えたら「貸方」、減ったら「借方」です。
また、仕訳では、右側と左側の金額の合計が必ず一致することも覚えておきましょう。
「借方」と「貸方」の理解を深める
簿記の仕訳は、なぜ「借方」と「貸方」の2つで仕訳を行うのかについて考えます。
これが複式簿記の「核」となる部分です。
仕訳は取引を2つの側面で見ることによって、お互いにその取引の理由を説明しています。
少しわかりにくいので仕訳例で説明します。
例えば以下の仕訳があります。
(借)現金 100 | (貸)借入金 100 |
この仕訳は、借入を100行って、現金が100増えたというものです。
借方の現金100だけだと、単に「現金が100増えた」ということしかわかりません。ただ、貸方の借入金100を見ることによって、「(借入によって)現金が100増えた」ということが分かります。
逆の貸方から見ても同じです。
借入金100だけだと、単に「借入金が100増えた」ということしかわかりませんが、借方の現金100を見ることによって、「(現金で借入をして)借入金が100増えた」ということが分かります。
このように、仕訳は「借方」「貸方」のお互いがお互いを説明しているということになります。
複式簿記の非常に優れている部分です。
簿記の仕訳では、一つの取引について、借方と貸方の二つの観点から説明することができるいうことを覚えておきましょう。
仕訳の例
仕訳例を見てみましょう。
以下の例で説明します。
「PC(備品)を、現金100,000円で購入した。」
(借) 備品 100,000 | (貸) 現金 100,000 |
「備品」という資産が増えたため借方(左側)に記入する。
「現金」という資産が減ったため貸方(右側)に記入する。
繰り返しになりますが、仕訳で重要なポイントは一つの取引には二つの見方ができることです。
備品100,000が増えた、それは現金で支払った。というのが一つの見方です。
現金が100,000減った、それは備品を購入したため。というのがもう一つの見方です。
仕訳の作成ステップ
仕訳の作成ステップについて順番に説明します。
①取引の内容を見て、資産・負債・純資産・収益・費用の内、何が登場するか把握する。
ここでは、備品(資産)と、現金(資産)が登場します。
②上記の項目が、借方(左側)、貸方(右側)のどちらかを考える。
備品が増加した⇒借方は「備品」
現金が減少した⇒貸方は「現金」
③勘定科目と金額を記入する。
(借) 備品 100,000 | (貸) 現金 100,000 |
このような手順で仕訳を考えてみてはいかがでしょうか。
学習のポイント(実務小話)
今回は、仕訳の基本について解説しました。
簿記の作業は、仕訳に始まり仕訳に終わるといっても過言ではありません。
自分で言ってて意味わかりませんが、そのくらい簿記=仕訳のイメージです。
「借方・貸方」と「資産・負債・純資産・費用・収益」の増減の関係をおさえたら、その次に個別の勘定科目の使い方を一つ一つ覚えていくということになります。
勘定科目も、最初はたくさんあって大変かと思いますが、決して数は多くありませんので、問題を解くことで自然に覚えていけます。
よくありがちな失敗としては、問題を解かずに個別の勘定科目だけを暗記しようとしたりすることです。それは苦しい作業のわりに身につかない、勉強の効果があまりないと思います。
簿記は「技術」と言われることもあります。問題を解いて、電卓を叩いて、体で覚えていくのが楽で、結局それが近道だと思います。
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