日商簿記3級対策~科目別解説「例題解説:自己受為替手形・自己宛為替手形」~
今回は「例題解説:自己受為替手形・自己宛為替手形」について説明していきます。
例題解説:自己受為替手形・自己宛為替手形
「自己受為替手形・自己宛為替手形」の例題を解いてみましょう。
問題
次の取引を仕訳しなさい。
①会社Aは、会社Bに対する売掛金20,000円を回収する為、自分を受取人とする為替手形を振り出し、商店Bの引き受けを得た。
②会社Aは、会社Bに対する買掛金30,000円を支払う為、自分を名宛人とする為替手形を振り出した。
解答
①会社A側の仕訳
(借) 受取手形 20,000 | (貸) 売掛金 20,000 |
①会社B側の仕訳
(借) 買掛金 20,000 | (貸) 支払手形 20,000 |
②会社A側の仕訳
(借) 買掛金 30,000 | (貸) 支払手形 30,000 |
②会社A側の仕訳
(借) 受取手形 30,000 | (貸) 売掛金 30,000 |
解説
①会社A側の仕訳
(借) 受取手形 20,000 | (貸) 売掛金 20,000 |
「受取手形」という資産が増えたため借方(左側)に記入。
「売掛金」という資産が減ったため貸方(右側)に記入。
自己受為替手形は、自分をお金の受取人に設定して為替手形を振り出し、他の人に支払ってもらうという為替手形です。
為替手形の当事者を当てはめると以下のようになります。
振出人(手形作成者、差出人)=手形を振り出した人(お金は支払わない)
受取人(指図人)=手形を受け取った人(お金を受け取る人)
支払人(名宛人、引受人)=手形を引き受けた人(お金を支払う人)
振出人=会社A
受取人(指図人)=会社A
支払人(名宛人)=会社B
①会社B側の仕訳
(借) 買掛金 20,000 | (貸) 支払手形 20,000 |
「買掛金」という負債が減ったため借方(左側)に記入。
「支払手形」という負債が増えたため貸方(右側)に記入。
②会社A側の仕訳
(借) 買掛金 30,000 | (貸) 支払手形 30,000 |
「買掛金」という負債が減ったため借方(左側)に記入。
「支払手形」という負債が増えたため貸方(右側)に記入。
自己宛為替手形とは、自分をお金の支払人に設定して振り出した為替手形の事です。
為替手形の当事者を当てはめると以下のようになります。
振出人(手形作成者、差出人)=手形を振り出した人(お金は支払わない)
受取人(指図人)=手形を受け取った人(お金を受け取る人)
支払人(名宛人、引受人)=手形を引き受けた人(お金を支払う人)
振出人=会社A
受取人(指図人)=会社B
支払人(名宛人)=会社A
②会社A側の仕訳
(借) 受取手形 30,000 | (貸) 売掛金 30,000 |
「受取手形」という資産が増えたため借方(左側)に記入。
「売掛金」という資産が減ったため貸方(右側)に記入。
学習のポイント(実務小話)
自己受為替手形・自己宛為替手形の処理の例題を解説しました。
両社とも、3人いる当事者が2人になりますので、処理としては、通常の為替手形よりも簡単だと思います。
どうして売掛金や買掛金を受取手形に振り替えるのかと言えば、手形は金額や期日、決済方法などが明確ですので、当事者間で債権債務をはっきりさせたいという意味もあります。
貸借対照表上も、現金預金の下は売掛金ではなくて、受取手形です。より現金に近いのは売掛金ではなくて受取手形の方だということも覚えておきましょう。
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