日商簿記3級対策~科目別解説「前払費用(費用の繰延べ)」~
今回は「前払費用(費用の繰延べ)」について解説していきます。
前払費用(費用の繰延べ)について
前払費用(費用の繰延べ)を説明します。(2019年から簿記3級では繰延べ・見越しという表現は使わなくなりました)。
前払費用の代用例は家賃です。
アパートを借りている人は、来月分の家賃を当月支払っています。
毎月毎月、1か月分の家賃をその前の月に支払っています。
このような状態で決算日をまたいだ場合、費用の繰り延べ処理を行います。先に支払っているの家賃を、前払費用という資産に振り替えます。
前払費用は「資産」です。先に払っているためお金を貸している状態と同じだからです。
問題によっては「前払家賃」や「前払利息」という勘定科目を使います。それらを総合して「前払費用」とする事もあります。
実際の問題を解く場合は、問題文で与えられる勘定科目をよく見てください。
前払費用(費用の繰延べ)の仕訳について
「前払費用」にかかる仕訳について以下の項目で説明します。
①費用を支払った。
②決算を迎えた。
③次期になった。
①費用を支払った。
以下の例で説明します。
「3月に4月分の家賃50,000円を現金で支払った。」
(借)支払家賃 50,000 | (貸)現金 50,000 |
費用を支払った時点では、普通に上記のように費用を計上する仕訳を行います。
②決算を迎えた。
以下の例で説明します。
3月31日に決算を迎えたとします。
(借)前払家賃 50,000 | (貸)支払家賃 50,000 |
「前払家賃」という「資産」が増えたため借方(左側)へ記入。
「支払利息」という「費用」が減ったため貸方(右側)へ記入。
支払った4月分の家賃は来期の家賃ですね。
③次期になった。
以下の例で説明します。
次期では本来の科目「支払家賃」に振り替えます。
(借)支払家賃 50,000 | (貸)前払家賃 50,000 |
「前払家賃」という「資産」が減ったため貸方(右側)へ記入。
「支払利息」という「費用」が増えたため借方(左側)へ記入。
学習のポイント(実務小話)
今回は、前払費用(費用の繰延べ)について解説しました。
前払費用、未収収益、未払費用、前受収益の4つを経過勘定といいます。
ここで少し苦戦することもあるのではないかと思います。
前払費用などの経過勘定は、家賃のように「支払いの時期」と「いつの分の家賃」というように支払いと対応する期間がずれている場合に、そのズレを調整するためのものです。
これを期間対応と言ったりしますが、実務上とても重要な会計処理になります。
学習していくうちに慣れてくると思います。
覚え方の参考となる記事をご紹介します。
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