日商簿記3級対策~科目別解説「貸倒引当金①」~
今回は「貸倒引当金①」について解説していきます。
貸倒引当金①
「貸倒れ」とは、売掛金、受取手形や貸付金などの債権が、相手の倒産などの理由で回収できず損失となることです。
お金を貸した相手が倒産してしまった等、なんらかの理由によって貸したお金(売掛金、受取手形や貸付金)が返ってこなくなったというケースです。
「貸倒引当金」とは、決算時点で売掛金、受取手形や貸付金などが、貸倒れしそう場合に計上します。
「貸倒引当金」という勘定科目使い「負債」を計上します。
貸したお金のうち、戻ってこなそうな金額を、早いうちに負債に同額計上しておいて貸倒に備えておきます。
相手方は、「貸倒引当金繰入」という「費用」を計上します。
決算における「貸倒引当金」の計上は、このようにして、実際に貸し倒れた場合に備えておく処理です。
貸倒引当金の仕訳について
貸倒引当金の仕訳について以下の項目で説明します。
①決算時に貸倒引当金を計上した。
②貸倒引当金を計上した売掛金が貸倒れた。
③貸倒引当金を計上した売掛金以外が貸倒れた。
①決算時に貸倒引当金を計上した。
以下の例で説明します。
「決算整理として、売掛金残高10,000円について、2,000円の貸倒れを見積もった。」
(借)貸倒引当金繰入 2,000 (貸)貸倒引当金 2,000
「貸倒引当金繰入」という「費用」が増えたため借方(左側)へ記入。
「貸倒引当金」という「負債」が増えたため貸方(右側)へ記入。
売掛金2,000円分について、貸倒引当金を計上します。
②貸倒引当金を計上した売掛金が貸倒れた。
売掛金2,000円について貸倒引当金を計上しました。これが貸し倒れたときの仕訳を説明します。
(借)貸倒引当金 2,000 (貸)売掛金 2,000
「貸倒引当金」という「負債」が減ったため借方(左側)へ記入。
「売掛金」という「資産」が減ったため右側へ記入。
貸倒引当金という負債と売掛金を相殺して消し込むイメージです。
③貸倒引当金を計上した売掛金以外が貸倒れた。
貸倒引当金を引き当てていない売掛金部分が貸し倒れた、貸倒引当金に引き当てている額以上に貸し倒れた例を説明します。
「売掛金5,000円が貸し倒れた。なお、貸倒引当金残高は2,000円である。」
(借)貸倒引当金 2,000 | (貸)売掛金 5,000 |
貸倒損失 3,000 |
「貸倒損失」という「費用」が増えたため借方(左側)へ記入。
「貸倒引当金」という「負債」が減った借方(左側)へ記入。
「売掛金」という「資産」が減ったため貸方(右側)へ記入。
貸倒引当金の対象以外の貸倒は、「貸倒損失」という「費用」で処理します。
貸倒引当金は、「貸倒損失」という予定外の損失をださないためにあらかじめ計上しておくものです。このケースでは予想外の損失が出てしましました。
長くなりましたので今回はこの辺で。続きは貸倒引当金②で説明します。
学習のポイント(実務小話)
今回は、貸倒引当金①について解説しました。
はじめは「引当」という簿記の特有の考え方が理解しにくいのではないでしょうか。
想定内の損失は、あらかじめ「貸倒引当金繰入」という費用で前もって計上しておきます。
貸倒引当金繰入/貸倒引当金
という仕訳です。
予想外の貸倒が起きてしまった場合は、「貸倒損失」が計上されます。
貸倒損失/売掛金
という仕訳です。
なぜ、決算期に、予想される貸倒れ金額を貸倒引当金として計上しておくのかというと、貸し倒れの可能性が高いものはどうせ近い将来費用になるのだから「その期間の費用」に織り込んでおくという意味です。
別の言い方をすれば、その翌年度になって貸倒が発生しますと、それは前年の利益の修正になってしまうということです。
前年の時点で貸倒れの費用になることわかってたんだったら前年の費用にしてください、ということです。
ただ、実務では、本当に貸倒が発生するかどうか、どのくらい引当しておくかという見積りが非常に難しいところです。
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