日商簿記3級対策~科目別解説「資本金・引出金」~
今回は「資本金・引出金」について解説していきます。
(2019年6月より引出金は試験範囲外となりました。)
資本金・引出金について
資本金とは、お店や会社の経営の際に集めた元手となるお金の事です。
例えば、会社を設立しようとした時、元手となるある程度まとまったお金が必要となります。その時に出資者を募るということもあります。そうして集めたお金が資本金となります。資本金は借金ではないので基本的に返す必要はありません。
一方、引出金とは、資本金から個人の為に使ったお金です。
資本金は、会社の活動のために集めたお金ですから、会社の活動以外で使うお金は区別しなくてはなりません。そのため「引出金」勘定を使います。
資本金・引出金の仕訳について
資本金・引出金の仕訳は以下の項目で説明します。
①資本金に自分のお金を入れた。
②引出金を使った。
「資本金」は「純資産」です。「純資産」は負債と同じく貸方(右側)が増加します。
「引出金」は「費用」です。個人の為に出費するお金なので会社から見ると「費用」です。
①資本金に自分のお金を入れた。
以下の例で説明します。
「お店の開店にあたり、現金300,000円を元入れした。」
(借)現金 300,000 (貸)資本金 300,000
「現金」という「資産」が増えたため借方(左側)へ記入。
「資本金」という「純資産」が増加したため貸方(右側)へ記入。
お店からすれば、元手となる現金を受け取ったということです。出資者(自分)からの出資であり、借金ではありませんので「純資産」です。
②引出金を使った。
「事業主が現金3,000円を家計費として引き出した。」という仕訳は以下になります。
(借)引出金 3,000 (貸)現金 3,000
「現金」という「資産」が減ったため貸方(右側)へ記入。
「引出金」という「費用」が増えたため借方(左側)へ記入。
お店からすればお金を払っていますので、引出金を使います。
問題によっては「資本金」を使う事もありますので注意が必要です。試験時は、問題文で与えられた勘定科目を使用しましょう。
引出金には決算時の処理もありますが、それは決算のところで解説します。
学習のポイント(実務小話)
今回は、資本金・引出金について解説しました。
資本金について、しっかり理解しておきましょう。小さい会社やお店だと、会社・お店=自分という実態もあり、自分のお金なのか会社のお金なのか区別がつきにくいところがあります。
お店に元手として入れたお金は、資本金。
お店からお金を引き出すときは、引出金。
このように理解しておきましょう。
余談ですが、「資本金というお金が金庫にある」と勘違いしている方もいるという簿記のジョークがあります。資本金は、「会社にいくら元手としてお金を入れたか」を表す数値です。実際にお金があるわけでありません。
元手を入れた時は、
現金/資本金
という仕訳ですが、例えば経費を支払えば、
通信費/現金
商品を仕入れれば、
仕入/現金
というように現金は会社の活動に応じて、仕入れや経費として使われていきます。資本金は実際の現金ではありません。少し難しいところですが、簿記の勉強を進めていくうちに理解できると思います。
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