日商簿記3級対策~科目別解説「税金(租税公課・法人税等)」~
今回は「税金(租税公課・法人税等)」について解説していきます。
税金(租税公課・法人税等)について
簿記3級に登場する税金についてご紹介します。
税金とは、国や都道府県、市町村などに納めるお金の事です。
簿記上の税金は主に以下の2種類あります。
租税公課・・・固定資産税、印紙税等
法人税等・・・法人税、住民税、事業税等
租税公課って少し難しい用語ですが、例えば印紙税は取引の際に、領収書や契約書に貼ったりと経費的な性格があります。「租税公課」は費用の一種と理解しておきましょう。
一方、法人税等は、会社が出した利益にかかる税金のイメージですね。
それぞれ説明していきます。
租税公課の仕訳について
以下の例で説明します。
「店が所有する建物の固定資産税3,000円を現金で支払った。」
(借)租税公課 3,000 (貸)現金 3,000
「租税公課」は、「費用」ですので、発生したら左側へ記入。
「租税公課」という「費用」が増えたため借方(左側)へ記入。
「現金」という「資産」が減ったため貸方(右側)へ記入。
固定資産税は毎年、土地や建物に課される税金です。
これも土地や建物を所有するための経費的な性格がある税金です。そのため「租税公課」の費用科目を使います。
法人税等の仕訳について
法人税等は主に以下の種類があります。
住民税:道府県民税(道府県が個人及び法人に課税するもの)と市町村民税(市町村が個人及び法人に課税するもの)を合わせたもの。
事業税:法人や個人が行う事業に対して課される税金。
ちょっと難しいですが、大枠の理解として「法人の儲け」に対してかかってくる税金というイメージを持っておくと思います。
法人税等の申告について
年一回、決算が終わった後、法人税等を申告します。
法人税の申告および納付は、原則として決算期末の翌日から2月以内に行うこととされています。
ただし、一定の要件を満たす会社は、中間申告をしなくてはなりません。
これを中間納付制度といいます。
法人税等の仕訳について
まずは中間納付時の仕訳です。
「当期の法人税、住民税及び事業税として20,000円を現金で中間納付した。」
(借)仮払法人税等 20,000 (貸)現金 20,000
「仮払法人税等」という「資産」が増えたため借方(左側)へ記入。
「現金」という「資産」が減ったため貸方(右側)へ記入。
中間納付額はあくまでも概算額を支払っただけなので、費用を計上せず、仮払法人税等(資産)という勘定科目で計上しておきます。
次に決算時の仕訳です。
「決算にあたり、当期純利益に対する法人税、住民税及び事業税として50,000円を計上する。」
(借)法人税等 50,000 (貸)未払法人税等 30,000
仮払法人税等 20,000
「法人税等」という「費用」が増えたため借方(左側)へ記入。
「未払法人税等」という「負債」が増えたため貸方(右側)へ記入。
「仮払法人税等」という「資産」が減ったため貸方(右側)へ記入。
法人税等は法人税、住民税及び事業税勘定で処理をします。ただし、法人税等を実際に納付するのは後日となるため、この時点では貸方を未払法人税等勘定(負債)としておきます。
最後に納付時の仕訳です。
「納付期限が到来したので、法人税、住民税及び事業税の未払分30,000円を現金で支払った。」
(借)未払法人税等 50,000 (貸)現金 30,000
「未払法人税等」という「負債」が減ったため借方(左側)へ記入。
「現金」という「資産」が減ったため貸方(右側)へ記入。
未払となっていた「未払法人税等」を現金で支払った仕訳です。
学習のポイント(実務小話)
今回は、税金(租税公課・法人税等)について解説しました。
最初は税金のイメージがつかみにくいと思います。
「租税公課」は税金ですが、印紙税は取引の都度発生し、固定資産税は毎年土地や建物にかかってくる税金で、事業活動をする上での経費的な性格を持つ税金です。
一方、法人税は、その年の「儲け」にかかってくる税金です。
大きく分けて2種類の税金があるということを理解しておきましょう。
簿記上では、法人税等の金額が与えられていたりしますが、実際は税金の申告書を作るのはとても大変です。決算書ある程度を作って、それから税金の金額を算出して、また決算書に戻って、税金の金額をいれて、最終的な利益が確定します。
税務申告業務は専門的なため、実務では社外の税理士に依頼しているところも多いです。