日商簿記3級対策~科目別解説「有価証券(国債・社債)」~
今回は「有価証券(国債・社債)」について解説していきます。
有価証券(国債・社債)について
まずは有価証券の国債、社債について簡単に説明します。
国債と社債は、併せて公社債と呼ばれます。
国債は国が発行します、社債は企業が発行します。
一般の人からお金を集めるために発行する証券です。
国債の方がイメージしやすいと思いますので国債を例に説明します。
国債は国が発行する債券を企業や個人が買います。
例えば10年の期間の国債、5年の期間の国債などがあります。
国債を買った方としては、国にお金を貸すというイメージです。そしてその証拠として、国債という有価証券を受け取ります。
お金を出した方はどんなうまみがあるのかと言いますと、利息がもらえます。
国債に設定されてる金利に応じた利息(クーポン)を受け取ることができます。
社債も企業が発行するもので、基本的には国債と同じです。
あとは、都道府県が発行する地方債もありますが、ここでは省略します。
公社債の仕訳について
公社債の仕訳について、国債を例に以下の順番で説明します。
①国債を買った。
②国債の利息を受け取った。
③国債を売った。
①国債を買った
以下の例で説明します。
「国債10,000円を、額面100円につき98円で購入し、代金は現金で支払った。」
(借) 有価証券 9,800 (貸) 現金 9,800
「有価証券」という「資産」が増えたため借方(左側)へ記入。
「現金」という「資産」が減ったため貸方(右側)へ記入。
100円につき98円で購入しているので、実際に支払ったのは9,800円です。
10,000円×98円/100円=9,800円です。
「額面」という言葉について少し解説します。
額面は、最低取引単位と説明されますが、少しわかりにくいですね。
物でいう「定価」のようなものです。
国債額面100円を98円で購入ということは、額面より2円ほど安く購入できているということです。
実際に支払ったのは9,800円ですから、その金額が仕訳されます。
②国債の利息を受け取った。
以下の例で説明します。
「所有する国債の利払日となったため、その利札1,000円を銀行に持っていき、ただちに当座預金に預け入れた。」
(借) 当座預金 1,000 (貸) 有価証券利息 1,000
「当座預金」という「資産」が増えたため借方(左側)へ記入。
「有価証券利息」という「収益」が増えたため貸方(右側)へ記入。
国債を売った
以下の例で説明します。
「所有している国債(額面100円につき、98円で購入)10,000円分を、額面100円につき、99円で売却して、代金は現金で受け取った。」という仕訳をみていきましょう。
①で9,800円で購入した国債の売却です。
額面100円を98円で10,000円分購入していますので、9,800円で購入していました。
次に売却額を考えます。
100円につき99円で10,000円分なので、9,900円で売ったとわかります。
9,800円で買って9,900円で売った計算です。結果100円得をしたという事になります。
仕訳としては、以下のようになります。
(借) 現金 9,900 (貸) 有価証券 9,800
有価証券売却益 100
「現金」という「資産」が増えたため借方(左側)へ記入。
「有価証券」という「資産」が減ったため貸方(右側)へ記入。
そして、儲かった100円は「有価証券売却益」を使います。
「有価証券売却益」という「収益」が増えたため貸方(右側)へ記入。
今回は、益がでたため「有価証券売却益」を使いましたが、損が出た場合は「有価証券売却損」を使います。
また、公社債はについては、決算時に評価替え(時価評価)を行います。
それについては、決算の項目で説明します。
学習のポイント(勉強の仕方・実務小話)
今回は、国債・社債について説明しました。
国債と社債は、手持ちの現金を運用するための商品です。
ただ株式への投資と比較して、売買をして儲けるというよりは、利息を貰って儲けるという傾向が強いのが公社債の特徴です。
国債を買って利息を受け取って「有価証券利息」を受け取ったり、相場を見て、売却し「有価証券売却益」を計上します。
その「有価証券利息」や「有価証券売却益」の裏側には、当座預金(つまりは現金預金)の増加があります。
有価証券を手元の資金を運用してお金を増やすという視点を持っておきましょう。