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【会計士】監査論の「詳細テスト」と「分析的実証手続」って何?【監査基準委員会報告書330】

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「詳細テスト」と「分析的実証手続」について

公認会計士試験の受験科目である監査論のお話です。

受験生時代は謎でしたが、実務に従事してから理解が進んだことに

「詳細テスト」と「分析的実証手続」があります。

今回は、実務に従事する公認会計士としてこれを解説します。

雰囲気を理解することを重視してゆるく解説しますので、用語の定義とか言葉の使い方はラフなところがあるのはご勘弁です。

実際に監査やってない人がイメージするのって難しいと思います。

なんとなく監査手続のイメージが付けばいいなと思って解説します。

実証手続までの道のり

監査基準委員会報告書330に実証テストとして、「詳細テスト」と「分析的実証手続」という二つの手続が示されています。

これを監査の現場、最近はリモートなどで行うまでの道のりを簡単に解説したいと思います。

監査手続の策定

だいたい監査のイメージって、まず監査計画を立ててリスクを評価します。

計画の「作成」でなくて「策定」と書かないと減点されそうなのは有名ですね。

ということで、経営環境やら、過去の財務諸表とか、特に最近ではITの環境とかのリスクなどをまとめます。

重要性の基準値も算出します。利益とか売上高を基準にすることが多いですね。

そして、この段階で「特別な検討を必要とするリスク」も選定します。

企業環境が変わらない限り監査計画も大部分前年の焼き直しです。

計画ができたら、監査法人内で計画の審査を受けます。

四半期レビューはとりあえずスルー

年度の期末監査にたどり着く前に、今は四半期レビューが第1四半期~第3四半期まで3回あります。

四半期レビューでも計画作って、レビュー実施して、結論を表明するということをやります。

年度監査よりも簡略した手続です。

でも結構大変ですけども。

年度監査実施

さて、いよいよ期末を迎え年度監査です。

この場面で主に実証手続を行います。

実際は四半期レビュー時に前倒しでやっとくことも多いのですが、その辺りは話をしだすと複雑なので割愛します。

この段階でリスク対応手続である「詳細テスト」と「分析的実証手続」が登場します。

どんなリスクに対応するのか、というのは計画策定時に決めたリスクに対応します。

例えば、計画時に「現金の実在性」がリスクだと計画時に決めたら、「実査する」というのがリスク対応手続になります。

分析的実証手続

先に、分析的実証手続はどんなものか?というのを説明します。

従業員の給料とか、減価償却費の分析でよくやります。

件数も多くて計算も複雑なので、推定値を算出して比べます。

その差額が小さければOKという手続です。

例えば、過去の従業員の一人当たり給料が年400万で90人、計36,000万円

今年は従業員が10人増えてるから40,000万くらいかと推定して、実際の残高と比べてみる。

それで差額が小さければOKです。

イメージとしては、個別の実際の数値の積み上げとかはしなくて、比率などを使って分析するのが分析的実証手続です。

詳細テスト

次は詳細テストですが、一応定義としては、実証手続の中で分析的実証手続以外の手続を詳細テストということになっています。

「詳細テスト」というよりは、「分析的実証手続以外の手続」という名前がふさわしいでしょうか。

長いからダメですかね。

詳細テストの代表的なものが、証憑突合です。

証憑とは、実際の証拠書類みたいなイメージで捉えていただければ大丈夫です。

例えば買掛金の残高の実在性を確かめる時に、買掛金の明細から一つ選んで、請求書と突合してみる。

こういう手続が詳細テストです。

要するに実際に根拠となる書類を見に行く、あるいは取り寄せるという手続が詳細テストです。

何件サンプルを突合するかは、残高と重要性の基準値次第です。

残高が多ければサンプル多くなるし、重要性の基準値が小さければ同じくサンプルが多くなります。

手続の全体像のイメージと理解は大切

試験の上ではただ文言で、実証手続として「詳細テストを行う」と覚えてもいいのですが、実務を始めるとどういう意味で「この手続を行っているのか」という理解が大切です。

それを理解して仕事をする人と、そういうものだという単なる記憶で仕事をする人では雲泥の差がでます。

「詳細テスト」と「分析的実証手続」は両方ともある科目の残高が正しいかどうかを「実証」する手続です。意外と「実証」の文言は大切です。

その他に計画段階に「分析的手続」という言葉が出てきますが、これはどちらかというと「どこにリスクがありそうか」を調べるための手続です。

最終段階の「分析的手続」も同じです。大体「重要な部分は大丈夫そうか」を調べるための手続です。

ここが「実証」が入ってるかどうかの違いです。

以上、なかなか実務に入らないとわかりにくいところだと思いますので、実務チックな視点からご紹介してみました。

ご参考になれば幸いです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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