一周早くゴール
もしサーキットを10周するレースで、9週目にレース終了を表すチェッカーフラグが振られたらどうでしょう。
きちんと自分の周回を数えている選手ならば、あと1周あるはずだからと構わずレースを続けるでしょうか。でも、気づかずにそのままゴールだと思ってレースを辞めてしまう選手もいるでしょう。
ゴールしたと思い気の抜けた選手が10周目に追い抜かれたりしたら、周回を数えていないのが悪いということになるでしょうか。
今回は「何を優先するべきか」というお話です。
2018年カナダGP
先ほどのお話は、2018年のカナダGPで実際にあった出来事です。
グランプリに招待されたゲストがチェッカーフラグを振るというイベントはよく行われています。当然スタッフがサポートについたうえで、チェッカーフラグを振るはずですが、2018年カナダGPでは、どういうわけか69周のレースで、ゲストが1周早くチェッカーフラッグを振ってしまいました。
当時ちょっとした話題になりましたが、ゲストの方もとんだ災難だったと思います。
結果、カナダGPはレギュレーションにより68周で終了となりました。
レギュレーションというのはF1の運営上の規則です。マシンのエンジン、シャシー、タイヤから、レースの取り運びまで、何から何まで細かく定められています。
F1はこのレギュレーションをとても重要視します。レギュレーションは絶対です。
チェッカーフラグが振られたらレースは終了とレギュレーションで決まってます。
だから68周で終了です。
どう解決を図るのかと注目していましたが、意外とあっさりでした。
規則は何のためにあるか
さて、このような出来事からどのようなことが学べるでしょうか。
そもそも規則や決まり事は、何かもめた時の解決策を示すものだということです。
2018年のカナダGPでも、終わったと思って気の抜けた選手が追い抜かれたり、周回をよく数えている選手が得をしたりというようなことが起きかねない状況でした。
そのような事態の解決法が「レギュレーション」なのです。F1上層部は、せっかくの問題解決ツールである規則を破ってしまうと余計に物事が複雑化することを知っています。
日常でもこの考え方はとても重要です。
まずは規則を守る、その次にどうしても救済しなければならない状況があった場合には例外を考える。
原則→例外です。
感情論であの人がかわいそうだから、いやこっちの利益も考えてとか、わかりますけども、キリがないし、いきなりそちらに考えを持っていってはいけません。
試験の論述でも、転職の面接でも論理的な思考は大切です。
何が優先なのか考えるにあたって、示唆に富むエピソードでした。
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