車が水没してドアも窓も開かない。
そんなとき、「脱出用ハンマーでフロントガラスを割ればいい」と思っていませんか?
フロントガラスには「合わせガラス」が使用されており、一般的な脱出用ハンマーで脱出できるほどの穴を開けることは困難です。
水没時に脱出用ハンマーを使う場合は、強化ガラスが使われているサイドガラスなどを狙います。
ただし最近は、サイドガラスにも合わせガラスを使用する車種があります。
・フロントガラスは脱出用ハンマーでは破砕できない
・狙うのは基本的に強化ガラス
・サイドガラスでも合わせガラスの場合がある
・自分の車のガラス種類を事前に確認しておく
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脱出用ハンマーでフロントガラスは割れる?
基本的には割って脱出することはできません。
JAFが実施した窓割りテストでは、金槌タイプ・ポンチタイプなどの脱出用ハンマーで強化ガラスを破砕できました。
しかし、フロントガラスについては脱出用ハンマーでも破砕できませんでした。
理由は、フロントガラスに使われているガラスの構造にあります。
なぜフロントガラスは割れない?
自動車のフロントガラスには「合わせガラス」が使用されています。
合わせガラスとは、2枚以上のガラスの間に柔軟な樹脂製の中間膜を挟んで接着したガラスです。
ガラス
↓
樹脂製の中間膜
↓
ガラス
表面のガラスにヒビが入っても、中間膜によって破片が保持されるため、簡単には貫通しません。
これは事故の際に乗員が車外へ投げ出されたり、ガラスの破片が飛散したりする危険を抑えるために重要な構造です。
しかし、水没時の脱出という点では、脱出用ハンマーを使っても簡単に穴を開けられないということになります。
国民生活センターも、合わせガラスは緊急脱出ハンマーで破砕できないと案内しています。
参考:国民生活センター「自動車用緊急脱出ハンマーによるガラスの破砕」
フロントガラスには必ず合わせガラスが使われている
国民生活センターによると、日本では1987年9月以降に製造された自動車のフロントガラスには合わせガラスの使用が義務付けられています。
つまり、現在一般的に走っている乗用車では、
という考え方は基本的に間違いです。
では水没時はどのガラスを割ればいい?
基本的に狙うのは、強化ガラスが使われているドアガラス・サイドガラスなどです。
強化ガラスは熱処理などによって強度を高めたガラスで、破砕すると細かな粒状になる特徴があります。
国民生活センターによると、強化ガラスは緊急脱出ハンマーで破砕することができます。
・運転席ドアガラス
・助手席ドアガラス
・後席ドアガラス
・サイドガラス
・リアガラス
ただし、ここで重要な注意点があります。
サイドガラスでも割れない車がある
「フロントガラス以外なら何でも割れる」というわけではありません。
最近の車では、静粛性や安全性などを目的として、ドアガラスやサイドガラスにも合わせガラスを採用する車種があります。
JAFも、一部車種ではドアガラスにフロントガラスと同じ合わせガラスを採用しており、脱出用ハンマーで割れない場合があると注意しています。
脱出用ハンマーを車に備えるなら、同時に自分の車のどの窓が強化ガラスなのか確認しておくことが大切です。
強化ガラスと合わせガラスの見分け方
ガラスの隅にある刻印を確認すると、種類を判断できる場合があります。
国民生活センターによると、JISマークが付いた自動車用ガラスの場合、次の表示が目安になります。
| 表示 | ガラス | ハンマー |
|---|---|---|
| T・TP | 強化ガラス | ○ 破砕可能 |
| L・LP | 合わせガラス | × 破砕不可 |
L・LP → 合わせガラス
ただし、表示方法はガラスや車両によって異なる場合があります。
判断できない場合は、車の取扱説明書やメーカー・販売店などで確認すると確実です。
自分の車で一度確認してみよう
脱出用ハンマーを購入したら、車の窓を一周して確認してみるのがおすすめです。
① 運転席ドアガラス
② 助手席ドアガラス
③ 後席ドアガラス
④ 小さなサイドガラス
⑤ リアガラス
「運転席側が合わせガラスだった場合、どの窓を割るか」まで事前に考えておけば、緊急時に迷いにくくなります。
ガラスのどこを叩く?
JAFのテストでは、脱出用ハンマーを使用するときは窓の四隅のいずれかを狙うと効率よく割れるとしています。
ただし、これは強化ガラスの場合です。
合わせガラスを何度叩いても、脱出口を作れない可能性があります。
水没したら最初からハンマーを使う?
最初から窓を割る必要があるとは限りません。
JAFは水没時、窓が開けられる状態であれば、まず窓を開けて脱出することを案内しています。
水没によって電気系統が故障したり、水圧などによって窓やドアが開けられなくなった場合に脱出用ハンマーが重要になります。
① シートベルトを外す
② 窓が開けば窓から脱出
③ ドアが開けばドアから脱出
④ 開かない場合は強化ガラスをハンマーで破砕
実際の事故では状況が大きく異なるため、JAFなどが公開している水没時の脱出方法を事前に確認しておきましょう。
脱出用ハンマーがあれば絶対に脱出できる?
いいえ。
脱出用ハンマーは非常に有効な緊急用品ですが、使用するガラスが合わせガラスであれば破砕できません。
だからこそ重要なのが、
・運転席から手の届く場所に固定する
・自分の車のガラス種類を確認する
・使い方を事前に確認する
という準備です。
どの脱出用ハンマーを選べばよいか迷っている方はこちら
脱出用ハンマーはどこに置く?
脱出用ハンマーをトランクに入れていては、水没時に取り出すことができません。
基本はシートベルトを着けた運転姿勢のまま手が届き、事故時にも飛ばないよう固定できる場所です。
よくある質問
脱出用ハンマーでフロントガラスにヒビは入る?
衝撃によって表面にヒビが入ることは考えられますが、合わせガラスは中間膜によって保持されるため、脱出できるほどの開口部を作ることは期待できません。
フロントガラスを何度も叩けば割れる?
水没時の脱出方法としておすすめできません。
フロントガラスは合わせガラスなので、脱出用ハンマーで破砕することができません。強化ガラスの窓を確認して使用しましょう。
サイドガラスなら必ず割れる?
いいえ。一部の車種ではサイドガラスにも合わせガラスが使用されています。
リアガラスは割れる?
強化ガラスであれば脱出用ハンマーで破砕できますが、合わせガラスを採用する車種もあります。事前にガラスの種類を確認してください。
強化ガラスかどうやって確認する?
JISマーク付きガラスでは、一般に「T」「TP」が強化ガラス、「L」「LP」が合わせガラスを示します。
わからない場合は取扱説明書やメーカー、販売店へ確認しましょう。
まとめ|フロントガラスではなく強化ガラスを確認しておこう
脱出用ハンマーを購入すると、
「これでどの窓でも割れる」
と思ってしまいそうですが、そうではありません。
・フロントガラスは合わせガラス
・脱出用ハンマーでは破砕できない
・強化ガラスなら破砕できる
・サイドガラスにも合わせガラスの車種がある
・事前に自分の車のガラスを確認する
万が一水没してから、
「この窓は割れるのか?」
と考える余裕はないかもしれません。
脱出用ハンマーを用意するときは、自分の車のどの窓を割ることができるのかまで確認しておきましょう。
信頼できる製品を選び、手の届く場所へ固定しておきましょう。
